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レクチャーコンサート《ロッシーニ の魅力 再発見!》

今年はロッシーニの没後150年です。本国イタリアではオペラの上演が相次いでいるようですが、日本でもいくつか重要な催しが開かれています。

11月17日(土)には東京文化会館の小ホールで、「ジョアキーノ・ロッシーニ 没後150年記念 レクチャーコンサート《ロッシーニ の魅力 再発見!》」がありました。

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企画制作は東京文化会館です。

前半は器楽曲、後半はオペラのアリアと重唱曲。曲の間に、日本ロッシーニ協会会長の水谷彰良先生の解説が入ります。

今回のコンサートは没後150年を記念して、水谷先生所蔵のロッシーニに関するとても貴重な資料が数多く展示されていました。ロッシーニ の自筆書簡が8点も!ロッシーニ の筆跡は頭が良くて性格も良さそう。単なる印象ですが…(字がカッコいいんです)。

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その他にも肖像画、楽譜、文献(その中にはスタンダールの「ロッシーニ 」伝の初版本が!まさにロッシーニが生きた時代の空気を感じさせます)、そして、カリカチュア、図版、写真(ロッシーニ の生写真多数。ハァハァ。まあもちろん、美青年だったお若い頃の写真ではないのですが…)、ロッシーニ ・オペラ・フェスティバルのポスター、絵葉書、などなど。それぞれに詳しい説明も添付されていました。全貌を知るには日本ロッシーニ 協会のサイトのこちらをご覧ください。

 

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会場はほぼ満員の盛況でした。

曲目はこちらです。

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*順番は《湖の女》と《ギヨーム・テル》が入れ替わりました。

前半の器楽の一曲目は、私の好きな「弦楽のための6つの四重奏ソナタ」から第1番。出だしからして、何て良い曲なんだ!

その他に、印象に残ったのがいつも東京フィルさんで聴いているクラリネットのアレッサンドロ・ベヴェラリさんと、ピアノの西村翔太郎さんによる幻想曲。イタリア人のロッシーニはやはりパッションが凄かったです。

タイミング良く出てくる水谷先生のレクチャーは、とてもレアな情報を平易に説明してくださり、しかも面白すぎるギャグが挟まれ客席を沸かせます。

休憩が終わり、後半はいよいよオペラのアリアと重唱です。

今日の曲目は、最後の《チェネレントラ》の六重唱以外はオペラ・セリアからのアリアと重唱です。初心者からロッシーニ重症患者まで楽しめる素晴らしい選曲でした。

出演歌手の皆さんの歌もとても良かったです。ロッシーニのオペラ・セリアは、技術のある歌手がスタイルを良く理解して歌えば、本当にあっけにとられるほど素晴らしいのです。

中でも白眉だったのは、メゾソプラノの富岡明子さんの歌う《マオメット2世》より「心配ありません、卑しい感情には」。広い音域にムラがなく、また迫力たっぷりの歌唱でこの難しいアリアが感動的な出来栄えでした。

それから“ロッシーニ の声”を持つテノール、小堀勇介さんの歌もいつもながら魅力的でした。あの明るい音色と気品ある歌声、そしてアジリタのテクニックが爽快です。イタリア語が美しいもう一人のテノール渡辺康さんと天羽明惠さんとの《湖の女》三重唱、カッコよかった。

他には、《タンクレーディ》のアメナイーデにぴったりの音色を持つ天羽明惠さん(でも《チェネレントラ》の意地悪なお姉さんの演技も上手い。笑)、深みのある美声で《ギヨーム・テル》を歌ったヴィタリ・ユシュマノフさん、そしてバリトンの市川宥一郎さんとメゾ・ソプラノの高橋華子さんも出演し、皆さん聴きごたえがありました。アンコールの《ギヨーム・テル》フィナーレも大変美しかったです。ピアノは安心の藤原藍子さん。

観客の拍手喝采でコンサートは終わりとなりました。

 

最後に余談ですが、この日は、同じ上野の奏楽堂で同じ時間にロッシーニ の「小荘厳ミサ曲」が園田隆一郎さんの指揮で演奏されていました。東京のロッシーニ・ファンが、なかなか無いロッシーニ のコンサートで「どちらに行けばいいんだ!?」と苦悩した日としても長く記憶されるでしょう(涙)。そちらも素晴らしい演奏会だったと行った方から聞きました。