これまで私のオペラ勉強会(この回です)やオペラ・ブック・カフェ(こちらです)に出席して下さったことのある谷めぐみさん。スペイン歌曲のエキスパート、というよりも、スペイン歌曲に生涯を捧げている谷さんのリサイタルが昨日、東京の白寿ホールで開かれました。
こちらはプログラムの表紙です。なんとも美しい。(以下も配布されたプログラムより。谷さんのブログから転載しています。
「スペイン音楽の楽しみ」(音楽之友社)の名著もある濱田滋郎氏が寄せられた「スペイン歌曲の『真実』を聴く」という文章に唸らされます。
今回の谷さんのプログラムは、四つの部分に分かれていました。第一部「夢のあとさき」はエンリケ・グラナドスの歌曲、第二部「憧れの国」はグラナドスの時代の、世界を魅了したスペイン音楽の多彩な作曲家たちの曲。休憩の後の第三部は「響きわたる孤独」としてフェデリコ・モンポウの歌曲。そして第四部は「20世紀の郷愁」、モンポウの周辺のスペイン歌曲を紹介する、という構成のしっかりした内容です。
この分野は初心者なのであまりちゃんとした感想を書けないのが残念ですが、まず、谷さんがマイクを使ってのご説明と、歌を両立させていらっしゃるのがさすがでした。歌は背景を知って聴くと広がりが違います。澄んだ歌声は情熱を帯びて魅力的でした。そしてグラナドスとモンポウの世界が大きく違っているので、その対峙する様が圧巻でした。第二部の最初にあるモンポウの「魂の歌」…凄い歌でした!
谷さんの衣裳が、グラナドスの明るい世界は赤いドレスに黒いレース、後半の内向的なモンポウの時には黒いドレスに水色系のストールというのも内容に良く合っていて美しかったです。
そ、そして!ビゼー『カルメン』のハバネラの元歌、イラディエールの「エル・アレグリート」もしっかり歌って下さいました!何ともチャーミングな曲。嬉しかったです。
アンコールはオブラドルス編曲のスペイン民謡「エル・ビート」と「鳥の歌」。今年はバルセロナのテロ、そしてカタルーニャの独立にまつわる問題等、バルセロナを心の故郷とする谷さんはかなり心を痛められていたご様子でした。スペイン歌曲は、今日、私が聴いた印象では、祈りの要素が重要な部分を占めている曲が結構あるような気がします。
ピアノの浦壁信二さんは、練達の腕前で歌にしっかりと響きを加えて聴きごたえがありました。
谷さんの(スペイン音楽の)魅力に吸い寄せられて、オペラ勉強会のメンバーもかなり来ていました。谷さんファンがロビーに溢れ、美しいドレス姿を撮影するのを忘れてしまったのが残念です。