月別アーカイブ: 2017年5月

ACT4表紙

ACT4 ヴェルディ特集!

 

「大人のための知的好奇心マガジン」ACT4。私がまだイタリアに住んでいた頃から取材のコーディネートや記事の執筆をさせて頂いている、美しい写真が満載の隔月刊の雑誌です。編集長の佐藤真理子さんがオペラ大好きなこともあり、いつもオペラの記事がたくさん載っています。

今回は私が、副編集長の永竹弘幸さん(私の恩師、永竹由幸先生の息子さんで素晴らしい写真家でもあります)と一緒にこの3月にイタリア取材をした記事が載っている78号(2017年6/7月号)が発売になりました!

くわしくはこちらから。

 

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TERRA DI PASSIONE エミリア街道を行く

 

ジュゼッペ・ヴェルディが生涯を過ごしたブッセート郊外の地、サンターガタのヴィラではヴェルディ家を継いでいる(親戚のひ孫にあたる)アンジョロ・カラーラ・ヴェルディ氏にインタビューしました。これだけのヴィラを、ヴェルディの生前のままの状態で保つのは並大抵のことではないと思います。普段は公開されていないサロン〈赤の間〉も取材させて頂き、「このソファーの赤い絹はかなり痛んでいますが(といってもとても美しいのです…)、マエストロが生きていた頃の布そのままなんですよ。」というアンジョロさんの言葉を聞くと、まるでそこにヴェルディが座っているかのような錯覚を覚えます。

 

 

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広大なお庭で弘幸君がアンジョロ・カラーラ・ヴェルディ氏を撮影中

 

 

 

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その他にも、ヴェルディが私財を投じてミラノに建設させた「CASA VERDI (音楽家のための憩いの家)」、ヴェルディが亡くなったミラノのグラン・オテル・エ・ドゥ・ミランなどを取材しました。

 

今回はヴェルディの出身地エミリア・ロマーニャ州、特にエミリアを取材する特集だったので、ヴェルディ以外にも、モデナ近郊のパヴァロッティ・ミュージアム、ボローニャ歌劇場、フェラーリ・ミュージアム、ランボルギーニの工場、ドゥカーティ・ミュージアム、ランブルスコ(この地方特産の赤い発泡性ワイン)の会社、そしてボローニャその他のグルメ情報など、カラーで全32ページの特集となっています。

オペラ関係ではその他に、佐藤真理子編集長の巻頭インタビューにイザベル・カラヤン、そして第二特集は何とザルツブルク・イースター音楽祭の現地取材、そして他にも世界と日本の文化、芸術の発信地からの様々な記事があります。今話題のGINZA SIXの記事も。早く行ってみたい…。

 

 

 

宮さん

みんなでオペラ第9回、第10回は『ジークフリート』!

新国立劇場で上演するオペラを予習する会を作ろう!という目的で始めた勉強会「みんなでオペラ」、第9回と第10回はワーグナーの『ジークフリート』でした。会場はいつもと同じ、西神田の学び舎さんです。

何せ正味4時間20分位、新国立劇場での上演は2回の休憩を入れると5時間55分にも及ぶ予定、という大作です。勉強会の第9回目は物語を中心に、第10回目は音楽を中心に話をしました。

『ジークフリート」は6月1日(木)が初日です。新国立劇場の特設サイトはこちらから。

 

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こちらは第9回目の写真です

 

前回の『ワルキューレ』もそうでしたが、今回も、井形ちづる先生の「ヴァーグナー オペラ・楽劇全作品対訳集」(水曜社)から対訳の一部を使用させて頂きました。ヴァーグナー(と書くほうが正しい発音に近いのです)の「妖精」から「パルジファル」まで全作品の対訳と必要情報が入って6,500円+税という、よく考えてみると信じられない程お得な価格の本です。しかも翻訳が、内容は勿論のこと、出来る限り平易な言葉を使って書かれているので、私のような者にも読みやすく頭に入りやすい名訳です。

この対訳本、アマゾンのサイトはこちらです。

 

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そして第10回目は音楽編。例によってライトモチーフの説明、妹の百合子に手伝ってもらってのライトモチーフの演奏。台本と付き合わせてのCD鑑賞、その他で『ジークフリート』に迫りました。しかし本当に、本当に長いオペラです。そして詳しく聴けば聴く程、その美しさに魅了されます。

 

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…というわけで、全10回のオペラ勉強会「みんなでオペラ」は無事、修了致しました。受講して下さった中でお花の心得があるジェントルマンが、最終回の記念にと花束を持って来て下さり、とても嬉しかったです。

 

宮さん

(公開写真に写りたくない方々を除いて)記念撮影しました。今回は来られなかった方も含め、この勉強会にご参加くださった皆様、どうもありがとうございました!

 

同じ形かどうかは分かりませんが、オペラ勉強会は来期も続けて行きますので、ご興味がある方はまたぜひご参加ください。

 

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陰の立役者である学び舎の主、ユージンプランニングの坂元勇仁氏ともツーショット。お世話になりました〜!

 

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熱い、熱い一日…

昨日は熱い、熱い一日でした。まず午後に、東京オペラシティで、東京フィルさんの「平日の午後のコンサート」。マエストロ・アンドレア・バッティストーニがお客さんにおしゃべりをしながら曲を演奏する、というコンサートで、タイトルは『チャイコフスキーの誘惑』。

前半の「イタリア奇想曲」(いい曲ですね〜〜〜!)と後半の交響曲第5番(RAIオケとのCDも出ています)の合間の、マエストロのおしゃべりを通訳をさせて頂きました。いつも思うのですが、おしゃべりをした後にすぐに頭を切り替えて暗譜であのような指揮が出来るマエストロ、ほんとうに不思議です。(そこで不思議がっている時点ですでにこちらが凡人すぎるのだと思いますが…。)
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そして、夜は練馬文化センターでマエストロ・ジュゼッペ・サッバティーニの声楽公開レッスンの通訳をさせて頂きました。サッバティーニさん程、熱血教師な人はこの世にはいないのではないか?と思うような熱い、熱い指導。とにかく歌手の方との距離が近いのです。よく私の姪っ子がふざけて顔をくっつけて来たりするのですが、サッバティーニ先生と歌手の方の顔の距離はそれくらい近い(笑)。あの距離で指導されて、言われた事をちゃんと理解して歌に反映出来る歌手の皆様は本当に凄いと思いました…。
 
しかも熱いだけではなく、その内容が素晴らしかったです。オペラ歌手とは、なんと緻密な頭脳と、真摯な勉強、そして情熱の元に成り立っている仕事なのでしょうか。
 

指導は多岐に渡り、まずはどのような音楽出版の楽譜を選ぶか、伴奏はどうあるべきか、そして発声に関しては調音部位(place of articulation)の詳細な説明、子音の種類(子音をいつなぜどういう理由でどのような方法で強調するか。子音が一つか重なっているのかの違いについて)、母音の種類(イタリア語の母音は7つだが唇を使う母音と舌を使う母音があり、そのスペクトルの中をどう使っていくか。また二重母音の場合をどう歌うかなど)、その使い方、発声練習のあり方、息継ぎをする場所の決め方、などから、ベル・カントのさまざまなテクニック、トリル、アッポッジャトゥーラ(長前打音)、アッチャッカトゥーラ(短前打音)などの実行の仕方、音程、軟口蓋の使い方、音の回し方、口の開け方、口の中のスペースの作り方によって音色がまったく違ってくる事、音を空中に飛ばす時のニュアンスの出し方、アクセント記号がある時にどういう場合はどういう強調の仕方をするか、などの純粋な技術の問題。

そして勿論、演奏解釈について。「ラ・ボエーム」ではリコルディ社の楽譜を開けた所にミミについての詳細なキャラクター説明がある事、「愛の妙薬」では、当時の田舎の村の青年が軍隊に入るというのは何を意味したかという事、「リゴレット」では高音が何を意味しているのか、などなど…。

まだまだ書き忘れている事はたくさんあると思いますが、ご自身が世界の一流歌劇場であれだけ素晴らしい歌を歌っていたその知識と情熱をそのまま生徒さんに注ぎ込んでいる感じでした。また、どの方も言われた事をすぐに反映させて(もともと実力がある皆さんでしたが)、目覚ましい効果を上げていたのにも感動しました。

それにしても、これらの指導を訳していると、私自身が観客としてオペラを聴いている時に、あまりに多くのことを逃している事に唖然とする程です。もったいない…。もっともっと音楽に向き合って、歌の真髄を味わえるようになるように精進しなければ…。もしかすると一番勉強になったのは私では?と思ったセミナーでした。

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このフライヤーは今月25日(木)に同じ練馬文化センターであるコンサートです。第一部では今回のレッスンで「リゴレット」ジルダを歌われた福士紗希さん他が出演するオペラ・アリアや重唱、後半はサントリーホール オペラ・アカデミーの声楽アンサンブルをマエストロ・サッバティーニが指揮をしてロッシーニ「小荘厳ミサ曲」を演奏します。サバ先生によると素晴らしい歌手がそろっているとのことでした。ピアノ2台とハルモニウムによるオリジナル編成版で演奏され、ロッシーニ財団による全集版楽譜での演奏は、今回が日本初演だそうです!くわしくはこちらへ。ぜひお聴き逃しなく〜〜〜!