素晴らしい!素晴らしい!素晴らしいコンサートでした!
昨日、ロッシーニ協会のガラ・コンサートに行ってきました。いや〜、すごかったです。
日本ロッシーニ協会
設立20周年記念ガラコンサート
2016年10月17日 18時30分開演 東京文化会館小ホール
主催:日本ロッシーニ協会
後援:イタリア文化会館
後援:公益財団法人 日伊協会
マネージメント:ミリオンコンサート協会
出演:
天羽明惠/家田紀子/佐藤美枝子/高橋薫子/松尾祐実菜(以上ソプラノ) 富岡明子(メッゾソプラノ) 坂口直子(コントラルト) 上原正敏/中井亮一(テノール) 大石洋史(バリトン) 三浦克次(バス=バリトン) 若林勉(バス) 工藤翔陽(助演・テノール) 田中大輝(助演・バス=バリトン)小野寺光(助演・バス=バリトン)
稲葉和歌子(ピアノ*) 金井紀子(ピアノ**) 朝岡聡(ナビゲーター)
コンサートには日本のオペラ界の第一線で活躍している歌手の方が大勢出演していました。客席はほぼ満席だったようです。ロッシーニ音楽の普及のために設立された日本ロッシーニ協会の20周年をお祝いするガラ・コンサートです。
ロッシーニの芸術を勉強し広めていこうという意図もあり、コンサートはソロの曲だけではなく、二重唱以上の重唱が多いのが特徴でした。しかも、第一部の「マオメット2世」のアンナの祈りと、第二部の「セミラーミデ」の「麗しく美しい光が」では、なんとメインの歌手の方の後ろにプリマドンナがずらりと並んで合唱部分を歌うというとんでもなく贅沢な状況が!驚いた!!!
ピアノはロッシーニを知りつくしている金井紀子さんと稲葉和歌子さん。どちらも素晴らしかったです。金井さんの輝きのある音とロッシーニの悦楽を表現する音楽、大好きです。
歌手はそれぞれ大変実力がある方ですが、それだけでなく、皆さんロッシーニの良さをきっちり表現している歌唱で、そのことに感動しました。
以下は私の勝手きわまりないミニ感想つき曲目です。感想がいらない人、ごめんなさい…笑。
【第一部】
《セビーリャの理髪師》
フィガロのカヴァティーナ「町の何でも屋に道を開けろ」(**) 大石洋史
(明るいバリトンの美声。言葉もクリアです。素敵でした!)
《セビーリャの理髪師》
ロジーナのカヴァティーナ「今の歌声は」(*)富岡明子
(富岡さんの音色とアジリタはまさにロッシーニ歌手。しびれます…)
《セビーリャの理髪師》
バジーリオのアリア「中傷はそよ風です」(*)若林 勉
(朝岡さんの解説によるとこのアリアは調性を低くして歌われることも多いのですが今日は原調のニ長調で歌われました。若林さんはさすがの演技力。声も張りがありました。)
《マオメット2世》
アンナの祈り「正義の神よ、このような危機にあって」(*)松尾祐実菜
(崇高な雰囲気が素敵でした。ずらりと並んだプリマドンナ達の合唱にも唖然。)
《オテッロ》
ロドリーゴのアリア「なんですと! ああ! 何をおっしゃるのです!」(**)中井亮一
(中井さんの歌は端正で表現力があり、技巧が技巧に終わりません。しかし凄い曲ですね!)
《湖の女》
エーレナとマルコムの小二重唱「私は生きていられません」(**)家田紀子/阪口直子
(マルコムを女性が歌うことにより、恋愛ムードが高まるのですね。ロッシーニ、わかっていますねぇ…)
《セビーリャの理髪師》
ロジーナとフィガロの二重唱「それでは私なのね(*)高橋薫子/大石洋史
(可愛い、可愛い二重唱です。)
《ラ・チェネレントラ》
六重唱「あなたなのですね?」(*)
松尾祐実菜/富岡明子/阪口直子/工藤翔陽/大石洋史/若林 勉
(坂口さんがアンジェリーナ(チェネレントラ)。なんというコントラルトの美声。惚れた…)
《アルジェのイタリア女》
リンドーロとムスタファの二重唱「妻を娶る気になったのなら」(**)上原正敏/三浦克次
(これすっごく面白かったです。お二人とも早口言葉が上手いだけでなく、音楽を使った演技がすごいんですよね。しかもベテランなのに二人とも声がフレッシュ。こうでなくちゃ!)
《アルジェのイタリア女》
第1幕フィナーレ「お殿さま、旅立ちの前に」(**)
天羽明惠/阪口直子/富岡明子/上原正敏/田中大揮/大石洋史/三浦克次
(天羽さんのエルヴィーラが際立っていました。富岡さんの上から目線のイザベッラ、ぜひオペラの舞台で観たい❤。ぴったりの役柄ではないでしょうか〜〜〜〜。アンサンブルも立派だった。)
──休憩20分
【第二部】
《セミラーミデ》
セミラーミデのカヴァティーナ「麗しく美しい光が」(**)佐藤美枝子
(このコンサートで一番ガツンとやられた演目でした。凄い歌唱でした。女性コーラスも入り豪華、豪華。佐藤さんの描く妖艶なセミラーミデ。素晴らしかった!!!!)
《セミラーミデ》
セミラーミデとアルサーチェの小二重唱「忠実な心を持ち続け」(**)家田紀子/阪口直子
(アルサーチェって罪な奴ですよね(笑)。家田さんのテクニックも見事。二人の息がピッタリの歌唱でした!)
《マオメット2世》
アンナ、カルボ、エリッソの三重唱「このいまわの時に」(**)天羽明惠/富岡明子/中井亮一
(2008年にロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルの来日公演のときに取り上げられた「マオメット2世」。その時にコーディネートをしていたので懐かしい演目です。今日の演唱も良かったです。三人とも甲乙つけがたい美歌唱でした…)
《泥棒かささぎ》
ニネッタとフェルナンドの二重唱「どう涙をこらえたら!」(*)高橋薫子/三浦克次
(これ地味な曲かと思いきや、表現力のあるお二人のおかげで感動の一曲に。情感溢れるデュエット。高橋さんの声がピュアな心情を痛い程表現し、三浦さんもコミカルな役からシリアスな父親役まで表現の幅がさすが。個人的に《泥棒かささぎ》はちょっと苦手意識のあった演目でしたが、これからはちゃんと向き合えそうです。)
《オリー伯爵》
伯爵夫人、イゾリエ、オリーの三重唱「この暗い夜の助けで」(**)
佐藤美枝子/富岡明子/上原正敏
(上原さんがあの美声でバカ殿になりきっていて完璧でした。このオペラもこの三人でぜひ全曲聴きたいです。ロッシーニはフランス語のオペラもいいなぁ。)
《ランスへの旅》
十四声の大コンチェルタート「ああ! かくも思いがけぬなりゆきに」(*)ほぼ全員
(金井先生が指揮にまわり14人をまとめていました。メリベア侯爵夫人が坂口直子さん、フォルヴィル伯爵夫人が高橋薫子さん、コリンナが天羽明惠さん、リーベンスコフが中井亮一さん、ベルフィオーレが上原正敏さん、ドン・プロフォンドが田中大輝さん、コルテーゼ夫人が家田紀子さん。演技が無くてもこの曲の演劇性はやはり卓越しています。ロッシーニ万歳!という曲でした。面白かった!)
アンコール《ギヨーム・テル》第4幕フィナーレ
(先ほどのメンバーに佐藤美枝子さんも加わり感動のフィナーレに。素晴らしい曲の素晴らしい演奏でした。)
以上です。それから最後になりましたが、いつも凄いな〜と思うのがナビゲーターをつとめた朝岡聡さんです。毎夏ペーザロで開かれるロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルの常連さんだけあって、ロッシーニへの深い愛と理解に溢れたお話は、曲と演奏の理解に大きな助けとなりました。靴の裏があざやかな赤だったのにも驚きました(笑)。これからもオペラやコンサートの解説で朝岡さんが登場する時には靴にご注目を!?
ロッシーニ協会の会員で、実は運営委員にも名を連ねているわたくし。その割には何もしていなくて(汗)、こうやってロッシーニの音楽を享受しているだけなのですが、素晴らしいコンサートを企画、実現してくださった皆様、お疲れ様でした。最高のロッシーニをどうもありがとうございました!!!