カテゴリー別アーカイブ: Classic Music

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忘れじのルチア・ポップ

最新号のStereo Sound誌(2017 AUTUMN No.204)に素晴らしい記事が載っています。

「レコード芸術を聴く悦楽」連載 第3回、タイトルは《忘れじのルチア・ポップ》。書いているのは岡崎哲也さんです。岡崎さんは、本業は松竹株式会社で長く歌舞伎の制作をなさっているのですが、クラシック音楽とオペラにも精通し、松竹ではMETライブビューイングも担当なさっています。その上、川崎哲男という筆名で歌舞伎の脚本を書き、第43回大谷竹次郎賞も受賞。

岡崎さんとは、1996年に歌舞伎がイタリア・ツアーを行った時に私が通訳の一員として同行させて頂いた以来のご縁で、今でも時々お目にかかってオペラや歌舞伎の話に花を咲かせる間柄です。

 

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1996年の歌舞伎イタリア・ツアー、ローマ歌劇場での集合写真。懐かしい…。

 

その岡崎さんから、「Stereo Soundに連載を始めました!」というご連絡をいただいたのが今年の3月でした。Stereo Soundといえば、美音を求めて自宅の庭に電信柱を建てて電線を引き込んでしまうような(!?)オーディオマニア達が読むというあの究極の雑誌ではないですか!Amazon unlimited他デジタルでも読む事が出来ます。

 

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Amazonのリンクはこちらです。

 

連載のタイトルは「レコード芸術を聴く悦楽」。第1回目は、ご自身のクラシック音楽との出会いについて書かれたあと、ミルシティンのゴルトマルク、スピヴァコフスキーのシベリウスのCDについて。第2回目は《ハイドンを聴く》。岡崎さんのクラッシック音楽への愛、そして造詣の深さはずば抜けていて、一生かかっても追いつけないのはお話ししていても分かるのですが、それが文章になると圧巻です。しかも、何とも言えない風情があり美しい文章…。

 

そして、今月発売の最新号が《忘れじのルチア・ポップ》です。思えば私も高校生の頃、「オペラって素晴らしい!!!」と心の底から思ったのが、カール・ベーム指揮、ルチア・ポップがスザンナを歌うウィーン国立歌劇場来日公演『フィガロの結婚』をテレビで観た時でした。モーツァルトの音楽、そしてキャスト全員が魅力に溢れる名舞台を観て、私はオペラの虜になったのです。

 

そのポップを深く愛している岡崎さんが彼女に捧げた文章は感動的です。ブラチスラヴァ出身でウィーン、ミュンヘン等を中心に活躍したルチア・ポップは、娘役が得意なソプラノ歌手で来日も多く、私も『アラベラ』『マイスタージンガー』など忘れられない舞台があります。54歳と若くしてこの世を去ったポップの名盤の数々を紹介しながら、彼女の芸術の本質を鋭く語る。岡崎さんのお陰で、私の耳、そして心の中にもルチア・ポップの歌が鮮やかに甦りました。

 

 

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Stereo Sound誌の記事より

 

 

 

 

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ACT4 ヴェルディ特集!

 

「大人のための知的好奇心マガジン」ACT4。私がまだイタリアに住んでいた頃から取材のコーディネートや記事の執筆をさせて頂いている、美しい写真が満載の隔月刊の雑誌です。編集長の佐藤真理子さんがオペラ大好きなこともあり、いつもオペラの記事がたくさん載っています。

今回は私が、副編集長の永竹弘幸さん(私の恩師、永竹由幸先生の息子さんで素晴らしい写真家でもあります)と一緒にこの3月にイタリア取材をした記事が載っている78号(2017年6/7月号)が発売になりました!

くわしくはこちらから。

 

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TERRA DI PASSIONE エミリア街道を行く

 

ジュゼッペ・ヴェルディが生涯を過ごしたブッセート郊外の地、サンターガタのヴィラではヴェルディ家を継いでいる(親戚のひ孫にあたる)アンジョロ・カラーラ・ヴェルディ氏にインタビューしました。これだけのヴィラを、ヴェルディの生前のままの状態で保つのは並大抵のことではないと思います。普段は公開されていないサロン〈赤の間〉も取材させて頂き、「このソファーの赤い絹はかなり痛んでいますが(といってもとても美しいのです…)、マエストロが生きていた頃の布そのままなんですよ。」というアンジョロさんの言葉を聞くと、まるでそこにヴェルディが座っているかのような錯覚を覚えます。

 

 

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広大なお庭で弘幸君がアンジョロ・カラーラ・ヴェルディ氏を撮影中

 

 

 

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その他にも、ヴェルディが私財を投じてミラノに建設させた「CASA VERDI (音楽家のための憩いの家)」、ヴェルディが亡くなったミラノのグラン・オテル・エ・ドゥ・ミランなどを取材しました。

 

今回はヴェルディの出身地エミリア・ロマーニャ州、特にエミリアを取材する特集だったので、ヴェルディ以外にも、モデナ近郊のパヴァロッティ・ミュージアム、ボローニャ歌劇場、フェラーリ・ミュージアム、ランボルギーニの工場、ドゥカーティ・ミュージアム、ランブルスコ(この地方特産の赤い発泡性ワイン)の会社、そしてボローニャその他のグルメ情報など、カラーで全32ページの特集となっています。

オペラ関係ではその他に、佐藤真理子編集長の巻頭インタビューにイザベル・カラヤン、そして第二特集は何とザルツブルク・イースター音楽祭の現地取材、そして他にも世界と日本の文化、芸術の発信地からの様々な記事があります。今話題のGINZA SIXの記事も。早く行ってみたい…。

 

 

 

ゼッダ先生大阪滞在+みんなでオペラ第四回『カルメン』

12月3日から10日まで大阪に滞在しておりました。大阪音楽大学の特別名誉教授であるアルベルト・ゼッダ先生が、12月7日(水)にザ・シンフォニーホールで大阪音楽大学の第59回定期演奏会を指揮され、そのリハーサルと、コンサートの後で大学で行われたマスター・クラス指導の通訳をしてまいりました。

 

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これまでもゼッダ先生に関してはたびたび書いてきましたが、文化人として最高の教養と、音楽全般の深い学識、そして誰にでもまったく同じように接して下さる飾らないご性格には、何度お目にかかっても感嘆するしかありません。

そして昨年4月の『ランスヘの旅』に引き続き、演奏会のリハーサルに接していつも感じるのはゼッダ先生の素晴らしい音楽性です。音楽を深く研究しているからこその解釈に、魔法のような命が吹き込まれる瞬間。素晴らしいです…

今回のご滞在中、東京のコンサートではロッシーニの「スタバト・マーテル」と「テーティとペレーオの結婚」が演奏されましたが、大阪ではメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」とロッシーニの「スタバト・マーテル」の組み合わせでした。「イタリア」は東京で2012年に東京フィルハーモニーを指揮して絶賛された曲目ですが、私はその時のコンサートを聴く事が出来ませんでしたので、ゼッダ先生の解釈に触れる事が出来たのは大変ありがたいことでした。疾風怒濤を経た前期ロマン派の魅力が溢れている名曲です。

「スタバト・マーテル」は大阪音楽大学ゆかりの一流のプロ歌手達が参加し、合唱団も加わっての演奏でした。生と死とに思いを馳せる深い感情表現がある、この上も無く美しい曲です。

私は本番は舞台裏におりましたので演奏会の模様は分かりませんが、大盛況で演奏も素晴らしかったそうです。ゼッダ先生の音楽に対する厳しい姿勢、そして音楽と人間に対するあふれる愛を、今回のリハーサル+本番を通して大阪音楽大学の学生のみなさんが感じて下さったら、そのお手伝いをした私も(私自身の反省点はもちろん色々あるのですが…)一番嬉しいことです。

 

そして…

 

そうこうするうちに、もう明日!に迫っているオペラ勉強会「みんなでオペラ」。明日のお題はビゼー『カルメン』です!はっきり言って大好きなオペラですが、大好きな人の魅力を語るのって以外と難しい…(汗)

明日の夜、暇だなぁ、という方、まだお席あります。ぜひどうぞ!

 

「みんなでオペラ」第四回『カルメン』

12月12日(月)19時〜

ところ:学び舎 遊人(東京都千代田区西神田 2-4-1 東方学会新館2F)

新国立劇場の2016/17年オペラ・シーズンにあわせて、上演作品を一回一演目ずつ勉強する会です。オペラを観る前に「これだけは知っておきたい!」というポイントが分かります。

*実際に劇場でオペラを観る方も、観ない方も一緒にオペラを楽しむための講座です。

参加料:2,500円

各回20名限定。

主催:ユージンプランニング

予約とお問合せ:
ユージンプランニング(平日10時から17時)
TEL 03-3239-1906
FAX 03-3239-1907

みんなで楽しくワイワイやる会です。明日は『カルメン』にちなんでフラメンコは…踊りません!!!

 

(勉強会の後は、希望者で居酒屋さん行きま〜〜す。)

 

 

 

 

「題名のない音楽会」バッティストーニ初登場!

昨日は「題名のない音楽会」の収録がありました。指揮者のアンドレア・バッティストーニ氏の通訳としてお仕事をしてきました。

「題名のない音楽会」といえばギネス・ブックにも載っているというテレビ朝日の名物番組。クラシック音楽の紹介に長年貢献してきた素晴らしい番組です。バッティストーニは今回が初登場!とのことでした。

曲目と2回に渡る放送予定日は以下の通りです。

 

テレビ朝日 「題名のない音楽会」
2016年10月9日(日)9:00~9:30

《バッティストーニの音楽会》

指揮: アンドレア・バッティストーニ
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

♪1:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲

作曲: P.マスカーニ
指揮: アンドレア・バッティストーニ
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

♪2:『シバの女王ベルキス』より第4楽章 狂宴の踊り

作曲: O.レスピーギ
指揮: アンドレア・バッティストーニ
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

♪3:歌劇『運命の力』序曲

作曲: G.ヴェルディ
指揮: アンドレア・バッティストーニ
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

BS朝日放送日(予定) 2016年10月16日(日)23:00~23:30

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テレビ朝日 「題名のない音楽会」
2016年10月16日(日)9:00~9:30

《協奏曲の音楽会》

ピアノ: 反田恭平
ヴァイオリン: 五嶋 龍
指揮: アンドレア・バッティストーニ
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

♪1:ピアノ協奏曲第2番 第1楽章

作曲: S.ラフマニノフ
ピアノ: 反田恭平
指揮: アンドレア・バッティストーニ
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

♪2:ヴァイオリン協奏曲第1番 第1楽章

作曲: S.プロコフィエフ
ヴァイオリン: 五嶋 龍
指揮: アンドレア・バッティストーニ
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団

BS朝日放送日(予定) 2016年10月23日(日)23:00~23:30

(以上は東京フィルハーモニーさんのサイト(こちらです)よりの転載です。)

 

 

…それにしても凄かったです。どちらの回も素晴らしい音楽と演奏でした。

私のお仕事は収録時のトークの通訳でした。いわば黒子の役割ですから番組に映ったりはしない(と思います…汗)わけですが、いや〜緊張しました。五嶋龍さんとマエストロのトークはとても面白かったです。さすがの内容でした。

というわけで、可能な方はぜひご覧ください!私は…昨日、緊張し過ぎで今日は全身が痛いです(笑)。

 

マタチッチ

マタチッチ ベートーヴェン交響曲全集

ロヴロ・フォン・マタチッチが指揮するベートーヴェン交響曲全集がSCDsで発売になりました。レーベルはAltusさんです。

 

ご縁があって、イタリア語のライナーノーツを翻訳させていただいた全集です。演奏はミラノ・イタリア放送響。マタチッチは日本とも縁が深いマエストロですが、実はイタリアでも結構指揮をしています。マタチッチがどのような人生を歩んだ芸術家だったか、そしてミラノにおけるベートーヴェン演奏の歴史、その中でこの録音の位置づけなどに関する興味深い内容です。

完全初出の貴重な音源だそうで、今月発売になっていますが、かなり好評だそうです。「マタチッチの豪放で骨太のベートーヴェン」、とのことで第5番を聴きながらいまこれを書いていますが、たしかに音楽のスケール感がすごいです。じっくりベートーヴェンを聴きたくなりました。

 

マタチッチ

 

 

 

 

ヨナス・カウフマンの「冬の旅」

ヨナス・カウフマンの「冬の旅」を聴きにミューザ川崎シンフォニーホールに行ってきました。

一昨日すでに東京サントリーホールでのシューマン、ワーグナー、リストの歌曲のコンサートを聴き、そちらも大変素晴らしかったのです。そのレポートはオペラ・エクスプレスのFacebookに書きました。(こちらです。)

サントリーホールも今日のミューザ川崎も、2階席の少し斜めの場所で聴きましたが、サントリーホールが歌曲の夕べには少し大き過ぎたのと比べて、ミューザ川崎はリートに理想的な音響でした。それに加えてやはりカウフマン自身も来日してから日数が経っているからなのでしょうか、歌い出しから声もフレッシュに感じました。

 

それにしても何という芸術でしょう。カウフマンとピアノのヘルムート・ドイチュはものすごい集中力で演奏していきます。私はリートに関しては門外漢ですし感想を書くのは無理なのですが、本当にこの世のものとも思えない凄い音楽、凄い表現でした。

 

あの声、この声、あの言葉、この音、そしてカウフマンの表情、仕草。ドイチュの手。カーテンコールで二人がどのようにして抱き合って微笑みあったか… など。忘れられない、決して忘れたくない、奇跡のような一夜でした。

 

 

ニコニコ動画を始めました

 

最近、ニコニコ動画を始めました。といっても発信している訳ではなく、Ottavaラジオを聴くためです。新聞で読んだ所によると、週刊文春のニコニコ動画での配信がとても人気があるそうですが、なるほど、動画って動画を見るためだけじゃなくて記事とかラジオとかを発信するのにも使えるのですね。いや〜、便利便利(笑)。

 

私はテレビもラジオもオンデマンドで自分のPCで視聴するので(どうしても放送時間に合わせられないんです。性格でしょうか…汗)、今、Ottava radio林田直樹さんの12月22日の放送を聴いていた所、とっても興味深いお話がありました。アムステルダム在住のピアニスト/美術家の向井山朋子(むかいやま ともこ)さんがゲストだったのですが、向井山さんのお話によると、オランダの電気機器メーカー、フィリップスは、重要な会議にはビジネスも電気機器もまったく関係ないアーティストを一人呼んでいたとのこと。それは会議を聞いてアーティストに何かとんでもない(とは限らないですが)感想を言ってもらって、それを発想のヒントにするためなのだそうです。林田さんも「素晴らしいですね〜」と驚いていましたが、私も驚きました。

 

最近、現代音楽やミニマル・ミュージックをやっと面白いと思えるようになってきたのですが、やはり音楽、そしてアートは、そこから《新しい発想》のヒントを得るために存在するのですね。そして、その新しい発想、新しい思想を生む力を得るために私たちはオペラやコンサートに通い美術館に行くのですし、国や地方自治体は芸術をサポートするべきなのです。

 

自分が知らなかったことに出会うために!

 

 

インターネット・ラジオ OTTAVA

9月になってインターネット・ラジオOTTAVAが試運転を開始しました。

オペラの仕事を始めた頃からの友人、林田直樹さんがプレゼンターのお一人で、一度、私も出演させていただいたこともあるOTTAVA、再開(再会)を楽しみにしていましたが、今日はその林田さんの担当日ということで今それを聴いています。暖かいお人柄が感じられる声が懐かしい。Naxos社がこのラジオを引き継いでくれて良かったです。普通のラジオと違ってオンデマンドでPCで聴くことが出来るので私にとってはクラシックの色々な曲を聴くのに大変便利だったのです。オンデマンドも復活しますように(祈)。

サイトはこちらです。