月別アーカイブ: 2015年7月

大きな蜜柑の木の下で

中学・高校で同級生だったお友達の家に行ってきました。

 

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夏蜜柑がたわわになった木が凄い。ちょうどとても暑い日で、木の下に立ったらお日様を浴びた実がとてもキレイだったので撮影してみました。しかもこの友達は、この蜜柑でジャムを作って友人知人に配ってくれるという女子力の高さ。ヨーグルトに入れて頂くととても美味しいのです❤。

 

 

日比谷オペラ塾「バロックオペラの魅力」

日比谷オペラ塾 オペラをもっと楽しむ方法(後期)第3回 「バロックオペラの魅力」

先月、「バロックオペラの魅力」について話をした時のレポートを日比谷図書館様がブログにアップして下さいました。(こちらからどうぞ。)ありがとうございます。ホワイトボードの文字が「プリントの訂正」というところが私らしい…汗。

 

 

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新国立劇場「沈黙」(2015年 6月27、28日)

オペラ・エクスプレスのFacebookに掲載した公演レポートをこちらにも転載します。

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新国立劇場「沈黙」

【公演レポート】6月27日、28日は新国立劇場の《沈黙》に行ってきました。今回の上演は2012年と同じ下野竜也指揮、宮田慶子演出ですがオペラ・パレス(大劇場)での上演、キャストもこのオペラをすでに歌った歌手が多く、スケールの大きな作品の理想的な上演となりました。

オペラ《沈黙》は遠藤周作(1923-1996)の原作、松村禎三(1929-2007)の台本・作曲です。このオペラは1980年にサントリー音楽財団からの委嘱があり、13年間の年月をかけて作曲されましたが、松村氏自身は1972、3年頃から「沈黙」をオペラ化したいという構想があったそうです。1993年に日生劇場にて初演。その後も日本のオペラの中では上演が多く、新国立劇場でも2000年、2005年(地域招聘公演・中劇場)、2012年(中劇場)に上演されています。

「沈黙」は島原の乱が起こった後、キリシタン禁制の日本に潜伏したポルトガル人宣教師ロドリゴに起こる物語です。原作を読んだ時には、信仰心ない筆者は正直なところ相当暗澹たる気持ちになってしまいましたが、松村の《沈黙》は宗教を中心とした形而上的なテーマを扱っていながら、そこにオハルとモキチの物語を入れるなど劇場上演のための工夫があり、オペラとして非常に見応えのある作品に仕上がっています。言葉と音楽も高い水準で一致しています。オーケストラは三管編成で、ピアノ、チェンバロ、チェレスタ、オルガンなどを使用しているグランド・オペラです。

巨大な十字架と回り舞台を使った美術は力強い美しさがあり、マカオでの教会、トモギ村、原作を読んでも恐ろしい水磔の場面、村人達が処刑される場面等も上手く処理されていました。第二幕でオハルが死ぬ場面で、舞台奥にモキチが白い衣を着て彼女を天国に誘う所は、その美しさが特に心に残りました。このシーンがあるからこそ、その後の長い暗い苦難の場面、フェレイラ神父との対話場面が生きてきます。

初日はロドリゴ役の小餅谷哲男が役になり切った演技で素晴らしく、フェレイラの黒田も転んだ神父の欺瞞と苦悩を見せ秀逸、キチジローの星野淳は卑怯で愛嬌がある奇妙な男(この作品の要と言ってもいい役)を全身で表現していました。ヴァリニャーノ神父の成田博之は威厳があり、茂吉の吉田浩之は素朴な村人ならではの高潔さが歌に出ていて感動的でした。オハルの高橋薫子も豊かな声と女らしさ溢れる表現。そしておまつの与田朝子の包容力、少年の山下牧子の純粋さなども聴きごたえありました。その他の登場人物、じさまの大久保眞、老人の大久保光哉、チョウキチの加茂下稔の演唱も良く、そして村人達を演じた合唱団、一人一人の表情が迫真の演技です。ちなみにこのオペラは合唱の比重がかなり大きく、そして難しそうな音楽が多いのですが、新国立劇場合唱団は素晴らしい歌を聴かせてくれました。幕府側の登場人物として威厳のある井上筑後守を演じた島村武男、通辞の吉川健一は意地の悪い役を巧みな台詞と歌で好演、役人・番人役に峰茂樹、台詞が多いこのオペラですが、峰の「踏んでみよ」は特に耳に残る言葉です。

28日は舞台に近い1階サイドの席からの鑑賞だったので、かなり感情移入して観てしまいました。ロドリゴの小原啓楼は第一幕最後に逮捕される前の大アリアなど素晴らしい歌で魅了されました。フェレイラの小森輝彦は渋い美声で自分を殺して生きる神父を好演、ヴァリニャーノの大沼の厳粛さ、キチジローの桝貴志の粗野な男を表す演技、モキチの鈴木准のヒロイックな歌も良かったです。オハルの石橋は可憐な乙女の心情を痛いほど表現していました。おまつの増田弥生と少年の小林由佳も演技も歌も立派、井上筑後守の三戸大久、通辞の町英和も威圧的な演唱が役に合っていました。

下野竜也指揮、東京フィルハーモニーの演奏は素晴らしかったです。歌には多くの旋律美を含みながらも全体は無調の音楽で書かれていますが、オーケストラの明晰な音がこのオペラに相応しく、遠藤周作の原作にあってオペラの台本からはカットされている物語の結末が、松村の音楽によって表現されている、その余韻のある終わり方が印象的な響きでした。
(所見:6月27日、28日)

文・井内美香 reported by Mika Inouchi
オペラ「沈黙」/松村禎三
Silence/Matsumura Teizo

全2幕〈日本語上演/字幕付〉
オペラパレス

2015年6月27日(土)14:00
2015年6月28日(日)14:00
2015年6月29日(月)14:00
2015年6月30日(火)13:00(学校団体貸切)

指揮:下野竜也
演出:宮田慶子
美術:池田ともゆき
衣裳:半田悦子
照明:川口雅弘

キャスト:
〈6 月27・29 日〉
ロドリゴ:小餅谷哲男
フェレイラ:黒田 博
ヴァリニャーノ:成田博之
キチジロー:星野 淳
モキチ:吉田浩之
オハル:高橋薫子
おまつ:与田朝子
少年:山下牧子
じさま:大久保 眞(全日程)
老人:大久保光哉(全日程)
チョウキチ:加茂下 稔(全日程)
井上筑後守:島村武男
通辞:吉川健一
役人・番人:峰 茂樹(全日程)

〈6 月28・30 日〉
ロドリゴ:小原啓楼
フェレイラ:小森輝彦
ヴァリニャーノ:大沼 徹
キチジロー:桝 貴志
モキチ:鈴木 准
オハル:石橋栄実
おまつ:増田弥生
少年:小林由佳
じさま:大久保 眞(全日程)
老人:大久保光哉(全日程)
チョウキチ:加茂下 稔(全日程)
井上筑後守:三戸大久
通辞:町 英和
役人・番人:峰 茂樹(全日程)

合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

合唱指揮:冨平恭平
音楽ヘッドコーチ:石坂宏

舞台監督:菅原多敢弘

制作・主催:新国立劇場
(2012年2月15日 新国立劇場プレミエ)

アルベルト・ゼッダ先生

日生劇場の《ランスヘの旅》が明後日初日を迎えます。指揮はロッシーニのエキスパート、アルベルト・ゼッダ先生。音楽家でもない私が”先生”を付けてお呼びするのはオペラ道の師匠、そして人生の師匠としてゼッダ先生に私淑しているからです。

今年の4月18日に大阪フェスティバルホールであった《ランスヘの旅》公演でコーディネートと通訳の仕事をさせて頂き、ゼッダ先生のお仕事ぶりを近くから見る機会が得られたのは、私の人生にとって大きな糧となる素晴らしい経験でした。

ゼッダ先生はとにかく音楽に対する情熱、謙虚さ、そして自然な態度が群を抜いています。別にスーパーマンではなく普通の87歳のおじいちゃま。スペイン人の素敵な奥様がいらっしゃり、プライヴェートでは可愛いお孫さんの話も飛び出すし、お年相応にお疲れの時もあるごく普通の人間です。でも音楽に対する情熱がとにかく並外れている。長年ロッシーニの音楽にどっぷり浸っていらっしゃるはずなのに、《ランスヘの旅》というオペラを指揮するのも、「このオペラは素晴らしい。本当に飽きない!」と少年のように目をキラキラさせて何度もおっしゃいます。そして好奇心が旺盛で、色々な事を良く見ていらっしゃる。誰よりもご自分に厳しいし、歌手達にも厳しい。リハーサル中はもうそれこそ「こんなこと訳していいんですか!?」という厳しいお言葉がどんどん出て来ていました。でも歌手の皆さんはゼッダ先生の厳しさが、人格に対してではなく音楽に対してだということをすぐに解って下さって本当に真剣に応えていらっしゃいました。そして、本番当日。私は舞台裏におりましたが、モニター画面を見ながら音楽を聴いていると、あんなに厳しかったゼッダ先生が今度は歌手やオーケストラの皆さんの最高のものを引き出し、そしてロッシーニのあまりにも楽しい音楽を観客と分け合うために全身全霊で指揮をしていらっしゃるではないですか。世の中にこんな人もいるんだ、と本当に感動しました。

明後日から3回の公演、今度は客席から聴く事が出来るのが嬉しくて仕方がありません。ゼッダ先生、そして共演者の皆さん(今度は東京フィルと藤原歌劇団の皆さんです)、客席から応援しております!!!