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宮さん

みんなでオペラ第9回、第10回は『ジークフリート』!

新国立劇場で上演するオペラを予習する会を作ろう!という目的で始めた勉強会「みんなでオペラ」、第9回と第10回はワーグナーの『ジークフリート』でした。会場はいつもと同じ、西神田の学び舎さんです。

何せ正味4時間20分位、新国立劇場での上演は2回の休憩を入れると5時間55分にも及ぶ予定、という大作です。勉強会の第9回目は物語を中心に、第10回目は音楽を中心に話をしました。

『ジークフリート」は6月1日(木)が初日です。新国立劇場の特設サイトはこちらから。

 

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こちらは第9回目の写真です

 

前回の『ワルキューレ』もそうでしたが、今回も、井形ちづる先生の「ヴァーグナー オペラ・楽劇全作品対訳集」(水曜社)から対訳の一部を使用させて頂きました。ヴァーグナー(と書くほうが正しい発音に近いのです)の「妖精」から「パルジファル」まで全作品の対訳と必要情報が入って6,500円+税という、よく考えてみると信じられない程お得な価格の本です。しかも翻訳が、内容は勿論のこと、出来る限り平易な言葉を使って書かれているので、私のような者にも読みやすく頭に入りやすい名訳です。

この対訳本、アマゾンのサイトはこちらです。

 

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そして第10回目は音楽編。例によってライトモチーフの説明、妹の百合子に手伝ってもらってのライトモチーフの演奏。台本と付き合わせてのCD鑑賞、その他で『ジークフリート』に迫りました。しかし本当に、本当に長いオペラです。そして詳しく聴けば聴く程、その美しさに魅了されます。

 

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…というわけで、全10回のオペラ勉強会「みんなでオペラ」は無事、修了致しました。受講して下さった中でお花の心得があるジェントルマンが、最終回の記念にと花束を持って来て下さり、とても嬉しかったです。

 

宮さん

(公開写真に写りたくない方々を除いて)記念撮影しました。今回は来られなかった方も含め、この勉強会にご参加くださった皆様、どうもありがとうございました!

 

同じ形かどうかは分かりませんが、オペラ勉強会は来期も続けて行きますので、ご興味がある方はまたぜひご参加ください。

 

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陰の立役者である学び舎の主、ユージンプランニングの坂元勇仁氏ともツーショット。お世話になりました〜!

 

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熱い、熱い一日…

昨日は熱い、熱い一日でした。まず午後に、東京オペラシティで、東京フィルさんの「平日の午後のコンサート」。マエストロ・アンドレア・バッティストーニがお客さんにおしゃべりをしながら曲を演奏する、というコンサートで、タイトルは『チャイコフスキーの誘惑』。

前半の「イタリア奇想曲」(いい曲ですね〜〜〜!)と後半の交響曲第5番(RAIオケとのCDも出ています)の合間の、マエストロのおしゃべりを通訳をさせて頂きました。いつも思うのですが、おしゃべりをした後にすぐに頭を切り替えて暗譜であのような指揮が出来るマエストロ、ほんとうに不思議です。(そこで不思議がっている時点ですでにこちらが凡人すぎるのだと思いますが…。)
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そして、夜は練馬文化センターでマエストロ・ジュゼッペ・サッバティーニの声楽公開レッスンの通訳をさせて頂きました。サッバティーニさん程、熱血教師な人はこの世にはいないのではないか?と思うような熱い、熱い指導。とにかく歌手の方との距離が近いのです。よく私の姪っ子がふざけて顔をくっつけて来たりするのですが、サッバティーニ先生と歌手の方の顔の距離はそれくらい近い(笑)。あの距離で指導されて、言われた事をちゃんと理解して歌に反映出来る歌手の皆様は本当に凄いと思いました…。
 
しかも熱いだけではなく、その内容が素晴らしかったです。オペラ歌手とは、なんと緻密な頭脳と、真摯な勉強、そして情熱の元に成り立っている仕事なのでしょうか。
 

指導は多岐に渡り、まずはどのような音楽出版の楽譜を選ぶか、伴奏はどうあるべきか、そして発声に関しては調音部位(place of articulation)の詳細な説明、子音の種類(子音をいつなぜどういう理由でどのような方法で強調するか。子音が一つか重なっているのかの違いについて)、母音の種類(イタリア語の母音は7つだが唇を使う母音と舌を使う母音があり、そのスペクトルの中をどう使っていくか。また二重母音の場合をどう歌うかなど)、その使い方、発声練習のあり方、息継ぎをする場所の決め方、などから、ベル・カントのさまざまなテクニック、トリル、アッポッジャトゥーラ(長前打音)、アッチャッカトゥーラ(短前打音)などの実行の仕方、音程、軟口蓋の使い方、音の回し方、口の開け方、口の中のスペースの作り方によって音色がまったく違ってくる事、音を空中に飛ばす時のニュアンスの出し方、アクセント記号がある時にどういう場合はどういう強調の仕方をするか、などの純粋な技術の問題。

そして勿論、演奏解釈について。「ラ・ボエーム」ではリコルディ社の楽譜を開けた所にミミについての詳細なキャラクター説明がある事、「愛の妙薬」では、当時の田舎の村の青年が軍隊に入るというのは何を意味したかという事、「リゴレット」では高音が何を意味しているのか、などなど…。

まだまだ書き忘れている事はたくさんあると思いますが、ご自身が世界の一流歌劇場であれだけ素晴らしい歌を歌っていたその知識と情熱をそのまま生徒さんに注ぎ込んでいる感じでした。また、どの方も言われた事をすぐに反映させて(もともと実力がある皆さんでしたが)、目覚ましい効果を上げていたのにも感動しました。

それにしても、これらの指導を訳していると、私自身が観客としてオペラを聴いている時に、あまりに多くのことを逃している事に唖然とする程です。もったいない…。もっともっと音楽に向き合って、歌の真髄を味わえるようになるように精進しなければ…。もしかすると一番勉強になったのは私では?と思ったセミナーでした。

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このフライヤーは今月25日(木)に同じ練馬文化センターであるコンサートです。第一部では今回のレッスンで「リゴレット」ジルダを歌われた福士紗希さん他が出演するオペラ・アリアや重唱、後半はサントリーホール オペラ・アカデミーの声楽アンサンブルをマエストロ・サッバティーニが指揮をしてロッシーニ「小荘厳ミサ曲」を演奏します。サバ先生によると素晴らしい歌手がそろっているとのことでした。ピアノ2台とハルモニウムによるオリジナル編成版で演奏され、ロッシーニ財団による全集版楽譜での演奏は、今回が日本初演だそうです!くわしくはこちらへ。ぜひお聴き逃しなく〜〜〜!

みんなでオペラ 第六回『ルチア』& 第八回『フィガロの結婚』

昨日、オペラ勉強会「みんなでオペラ」の『オテロ』を投稿してから、何か変だな?と思った私。何と第六回『ルチア』のご報告を忘れていました!大大好きなオペラなのに…泣。

 

2月13日(月)に学び舎 遊人さんでドニゼッティ『ルチア』、そしてこの際ついでにご報告してしまいますと、4月3日(月)にはモーツァルト『フィガロの結婚』の勉強会をやりました。

新国立劇場の『ルチア』公演は、ジャン=ルイ・グリンダの演出が人間関係の読み解き方など面白く(個人的には狂乱の場のアレは苦手でしたが…)、タイトルロールのルチアを歌ったオルガ・ペレチャッコ=マリオッティが知的な歌唱で素晴らしい他、アンサンブルも大変に優れた興奮の舞台でした。

公演の予習としての勉強会では、かの有名な〈六重唱〉を読み解くために、六人の声部をそれぞれ歌ってみる、という試みをしましたが、妹(百合子)の助けがあったから何とかなったものの、受講生の皆様にはお聴き苦しい歌をお聴かせしました(しかも受講生として、何と、声楽のプロ中のプロがお一人来て下さったので大変に焦りました。笑)。でも、こうやって解剖してみると、この六重唱の素晴らしさがしみじみ感じられます。やはりドニゼッティは劇場音楽の天才です。

 

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何回聴いてもまた頭から聴きたくなるオペラ、私にとってそれは『フィガロの結婚』です。実はけっこう時間的にも長いオペラなのですが、なぜか終わりまで聴くとまたあの序曲が聴きたくなるんですよね…

というわけで、第八回の『フィガロの結婚』は、モーツァルトの凄さの一端を知るために、第二幕の長大なフィナーレ、そしてモーツァルトがこのオペラ全体に仕掛けた調性の罠(?)についてお話し致しました。モーツァルトの交響曲的な調性の魔力は、21世紀を生きる日本人である私達にもいまだ大きな影響を及ぼし続けています。

 

 

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さて、次回のオペラ勉強会は、再びあの方の登場です。そう、リヒャルト・ワーグナーの『ジークフリート』!

 

 「みんなでオペラ」第九回『ジークフリート』

4月24日(月)19時〜

ところ:学び舎 遊人(東京都千代田区西神田 2-4-1 東方学会新館2F)

新国立劇場の2016/17年オペラ・シーズンにあわせて、上演作品を一回一演目ずつ勉強する会です。オペラを観る前に「これだけは知っておきたい!」というポイントが分かります。

*実際に劇場でオペラを観る方も、観ない方も一緒にオペラを楽しむための講座です。

『ジークフリート』は4月24日と5月15日(月)の二回に分かれての勉強会です。一回目は台本を中心に、二回目は音楽を中心にお話しする予定です。

参加料:2,500円

各回20名限定。

主催:ユージンプランニング

予約とお問合せ:
ユージンプランニング(平日10時から17時)
TEL 03-3239-1906
FAX 03-3239-1907

E-mail:manabiya@yujinplanning.com
(メールでご予約の際はイベント名と人数を明記してください)

 

みんなで楽しくワイワイやる会です。皆様のお申込みをお待ちしております!

(勉強会の後は、希望者で居酒屋さん行きま〜〜す。)

 

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最後に嬉しいニュースを。学び舎 遊人の世話人、坂元勇仁君が最近、ラジオを始めました!しかも音楽と本を愛する人のための番組です!

音楽出版社アルテスパブリッシングさんと共同で制作する、FMラジオ番組「ミュージックブックカフェ」です。

くわしくはこちらからどうぞ。

私も聴いてみましたが、楽しい本の紹介が多くて嬉しいです。出演者の皆さんのおしゃべりも興味深い内容ばかり。そして司会(看板娘?)のほのかちゃんがカワカッコいい(笑)。

そういえば、アルテスさんから最近出版されたワーグナー本といえばこちら。自分の勉強会の予習に(笑)さっそく読んでみましたが大変読みやすいのに、内容は高度で良かったです。

 

《ニーベルングの指環》教養講座
読む・聴く・観る! リング・ワールドへの扉
山崎太郎著

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詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

 

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みんなでオペラ第七回『オテロ』

お久しぶりです(汗)。昨日、新国立劇場の『オテロ』公演を観てまいりました!

舞台をキプロス島ではなくヴェネツィアに設定した水の都ヴァージョンの『オテロ』。パオロ・カリニャーニ指揮の東京フィルがドラマチックな音楽を奏で、また合唱も良かったです。歌手ではカルロ・ヴェントレが輝かしい声で気を吐いていました。

 

さて、とても昔の事になってしまいましたが、3月6日(月)には西神田の学び舎 遊人さんで『オテロ』の勉強会を開催しました!ヴェルディの中でもオーケストラが充実した後期の大傑作であるこの作品についてお話ししました。

そして何と!この『オテロ』の回にもスペシャルなゲストが登場してくださいました。オペラ演出家で、この新国立劇場の『オテロ』の再演演出(演出はマリオ・マルトーネ)を手がけた菊池裕美子さんです。

 

 

裕美子さんOtello
右側が菊池さん❤。

 

実際に舞台を作っている方ならではの様々なエピソード、『オテロ』の難しさ、この演出の特徴など、たくさんの素晴らしいお話をして下さいました。菊池さん、どうもありがとうございました!

 

 

菊池裕美子さんの次の演出作品。なんと、バリトン歌手の黒田博さんが指揮をする『コシ・ファン・トゥッテ』です。くわしくはこちらをご覧ください。前回の『ドン・ジョヴァンニ』、とても面白かったです!!!

2017年5月27日(土)くにたち市民芸術小ホール 15時開演

歌劇者

 

 

 

 

 

 

 

 

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みんなでオペラ第五回『蝶々夫人』

ご報告が遅くなりました!1月16日(月)に学び舎遊人さんにてオペラ勉強会「みんなでオペラ」第五回目を開催しました。お題はプッチーニ作曲の『蝶々夫人』です。参加して下さった皆様、どうもありがとうございました!

 

プッチーニは世界の様々な土地を舞台にしたオペラを作曲しましたが、この『蝶々夫人』では日本の長崎を舞台にオペラを書きました。日本の旋律をたくさん取り入れてリアリティを出していますが、今日このオペラを観る人は、日本という土地に起こったローカルな話というよりは、物語の普遍性のほうをより強く感じるかも知れません。

 

 

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妹の井内百合子に『蝶々夫人』に使用されている日本の曲を弾いてもらっています。越後獅子、君が代、桜、お江戸日本橋、宮さん宮さん(トンヤレ節)、かっぽれ、推量節など。たくさんあるのです…

 

 

そして、前回に続いてスペシャル・ゲストが。そうです、指揮者の安藤敬さんです!安藤さんの主宰するオペラ団体Le Vociが2月22日(水)、23日(木)に『蝶々夫人』を上演するので、この演目を極めている最中のマエストロにプッチーニの音楽について語って頂きました。ハープの素晴らしい使い方等、安藤さんのお話を聞いた後で『蝶々夫人』を聴き直してみると、新しい音が聴こえて来るから不思議です。

 

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指揮者の安藤敬さんと。安藤さん、どうもありがとうございました!

 

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もう数日後に迫ってきました!Le Vociさんの公演情報はこちらです。

 

プッチーニ『蝶々夫人』全二幕 字幕付き原語上演

2017年2月22日(水)・23日(木) 18:00 開場 18:30開演

渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール 全席自由 4,500円

お問い合わせ tel:080-3021-6152

東京文化会館チケットサーヴィス tel:03-5685-0650

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林アメリーさん作品展

神楽坂にあるハルメク神楽坂本店(4F)にフランス生まれのきものキルト作家、林アメリーさんの作品展を見に行きました。2月7日〜13日まで展示しているそうです。入場無料。

 

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林アメリーさん。笑顔がめちゃめちゃキュート。

 

 

林アメリーさんは1933年、フランス・オートヴィエンヌ県スサック生まれ。パリでクリスチャン・ディオールやギ・ラロッシュなどのオートクチュールの一流アトリエで仕事をし、その関係で1963年に来日しました。日本で結婚なさった後、個人で服を作る仕事をするかたわら日本のきものに出会い、今は着物地を使ったパッチワーク・アートを作っていらっしゃるとのこと。

 

アメリーさんとは今年、ある新年会でたまたまお席が隣になって知り合ったばかり。とっても人懐っこい笑顔と、縫い物が大好き!というお話が素敵だったので、神楽坂で作品展があると聞き見に行ってきました。

 

すると、何とも美しい作品の数々!着物地の美しさを鋭く見抜き、それを芸術品にしてしまう手腕が素晴らしかったです。オートクチュールを長年作ってきた技術と、ヴィヴィッドな感性が一致して、見ただけで幸せになる作品の数々が生まれるようです。色彩感覚や形のセンスがとにかくモダンだし素敵。しかもその作品の数々は基本的にはご家庭で飾ったり実用されているとのことで、それも何ともいえずいい感じでした。

 

会場でアメリーさんの作品とライフ・スタイルを紹介したご本をつい買ってしまいました(Amazonではこちら)。とても丁重に作られていて素晴らしい内容。私とは生き方はまったく違うけれど、アメリーさんのポジティヴな考え方、心から共感します。

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ロイヤル・オペラ『ホフマン物語』シネマで公開!名舞台を観る最後のチャンス

ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)のシネマシーズン試写会でオッフェンバック作曲『ホフマン物語』を観ました。本日(1月27日)から映画館で公開です!

詳しくはこちら

 

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(C) ROH. PHOTOGRAPHER CATHERINE ASHMORE

1980年にプラシド・ドミンゴ主演で初演されて以来、長年ROHで愛されて来た名プロダクションです。演出は映画「真夜中のカーボーイ」で有名なジョン・シュレシンジャー。シュレシンジャー監督はオペラが大好きだったそうで、ロイヤルの『ホフマン物語』も映画的な緻密さと豪華な美術セット+衣裳で知られています。これまでドミンゴ、クラウス、ヴィラゾンなど綺羅星のスター・テノール達が歌ってきました。

 

『ホフマン物語』はオッフェンバックの未完のオペラですが、このプロダクションが使っているのはオッフェンバックの新たな自筆譜などが発見される前のシューダンス版です(三人の女たちの登場順番はオランピア、ジュリエッタ、アントニア。ダッペルトゥットはアリア「輝けダイヤモンドよ」を歌う、etc.)。ROHでは、今回がこのプロダクションでの『ホフマン物語』の最後の上演とのことです。

この舞台の魅力は何といっても豪華なセットと、映画さながらのリアルな演出。シネマならではの特典としては、初演の時から所作を担当しているという年配の女性や、出演を続けている俳優がインタビューに登場し、いかに細かく演技を作っていくかを説明することです。もともと演技の上手な英国ロイヤルの合唱団の活躍はこの映画の大きな見所です!

 

 

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(C) ROH. PHOTOGRAPHER CATHERINE ASHMORE

今回、ホフマン役を務めたのはヴィットリオ・グリゴーロ。演技も歌も迫真の出来で良かったです。悪役四人を歌ったトーマス・ハンプソンはやはりカリスマが凄い(特に目力?笑)。そして三人のプリマ・ドンナはそれぞれ良かったですが、私は前回観た『ノルマ』でひいきになったアントニア役のヨンチェヴァの情感のこもった美しい歌に感動しました。

 

 

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(C) ROH. PHOTOGRAPHER CATHERINE ASHMORE

 

 

 

 

 

 

 

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プッチーニ《蝶々夫人》

 

前回の記事もミラノ・スカラ座のことでしたが、明日のオペラ勉強会で《蝶々夫人》を取りあげるのでふたたび… 昨年の12月7日、スカラ座はプッチーニ《蝶々夫人》で開幕しました。あまりにも有名なこのオペラは1904年2月17日にスカラ座で初演されましたが、大失敗で終わった事はよく知られています。

そしてプッチーニは一晩でこのオペラを取り下げ改作にとりかかります。そして他の劇場で何度かの改作による再演を経て現行版が出来上がり、《蝶々夫人》は現代に至るまで名作として上演され続けています。

今シーズンのスカラ座の《蝶々夫人》はこの大失敗に終わった初演版を採用しての上演でした。この版での上演はスカラ座では1904年以来初めて、つまり112年ぶりとのことです。

 

今回のスカラ座のプロダクションの初日公演は生中継されました。日本でも1月23日0時(つまり22日の深夜)からBSプレミアムで放映されるそうです。私はイタリア人の友人から見せてもらいました。大変充実した上演で特に音楽は圧倒的な素晴らしさでした(演出も嫌いではなかったです)。

私は1996年に東京で上演されたパウントニー演出のミラノ初演版を観ていますが、その時に受けた印象とはまた違うものがありました。分かるのは、初演版はたしかに現行版と比べて普遍性では劣るけれど、《蝶々夫人》という日本を描いた作品としての個性はより際立っているということです。そして初演が大失敗だったのは決して作品が酷かったせいではない、ということが良く理解できます。

 

 

ミラノのデパート、リナシェンテのウィンドウはスカラ座開幕演目に合わせて《蝶々夫人》をテーマに飾られていたそうです。素敵ですね!(これは友人が送ってくれた写真です。)

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映画「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」

長年オペラのコーディネートや通訳の仕事でお世話になっている東急文化村のHさんから、「そういえば井内さん、いい映画が上演される予定があるんですよ!」と教えてもらったのは秋も深まった頃でした。そう、その映画とは『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』です!

 

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12月23日(金・祝)より、Bunkamuraル・シネマ他 全国ロードショー!

 

 

Hさんのおかげで配給会社さんにご紹介頂き、この映画の試写を拝見し、そしてパンフレットにも文章を書かせていただきました。なにせオペラが大好きすぎてスカラ座があるミラノに20年以上住んでしまった私のこと。スカラ座への愛情を吐露する場所を与えていただき嬉しかったです。映画をご覧になる方でご興味がある方は、ぜひパンフレットもお手に取って頂ければ幸いです。

映画はスカラ座の魅力を多面的に描いたものです。毎年12月7日のスカラ座シーズン開幕公演は、ロングドレスとブラックタイのVIP達が集う華やかさで有名ですが、ダニエル・バレンボイム指揮《フィデリオ》で開幕した2014年の、初日へ向けての緊張感漂う準備の様子を一つの軸に、スカラ座元総裁リスナー、現総裁ペレイラ、元音楽監督クラウディオ・アッバード、リッカルド・ムーティ、バレンボイム、そして現シェフのリッカルド・シャイーなどのインタビュ―、貴重なリハーサル映像、公演風景、スカラ座元エトワールのカルラ・フラッチ、アレッサンドラ・フェッリ、現エトワールのロベルト・ボッレ、そしてオペラ歌手では、レオ・ヌッチやプラシド・ドミンゴ、その他多くのアーティストの貴重な映像を観る事が出来ます。

もう一つ面白いのがスカラ座の歴史を語るために再現ヴィデオを使用している事です。ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニ等に傑作を書かせた天才興行主バルバイア、ヴェルディに《ナブッコ》を作曲させた辣腕興行主メレッリ、果ては音楽出版社リコルディの創業者ジョヴァンニ・リコルディの妻(!)、マリア・カラスを伝説のディーヴァに仕立て上げたデザイナーのビキなどに扮した俳優達が登場。彼らの演技は当時のスカラ座の雰囲気を活き活きと伝えています。

そして、私にとって嬉しかったのは、スカラ座の観客についてもきっちり取材されていた事でした。有名な「スカラ座天井桟敷の会」など、スカラ座に棲んでいるオペラ・ファンたちのオペラにかける情熱。それこそがスカラ座を世界一の歌劇場にした秘密である事を、映画はちゃんと語っています。

 

公式サイトはこちらです。
(サイトが開くとプロモーション映像が始まり音が出ます)

 

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みんなでオペラ 第四回『カルメン』(またまた素晴らしいゲストが登場!)

 

12月12日(月)に西神田の学び舎遊人さんで「みんなでオペラ」第四回『カルメン』を開きました。ご来場の皆さま、どうもありがとうございます!

 

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一応まじめにやっております…

19世紀のパリはヨーロッパ文化の中心地。文学、絵画、音楽と様々な分野で新しい才能が花開きました。その中には今日高い評価を得ている作品でも、発表当時には風当たりが強かったものがたくさんあります。小説ではフローベールの「ボヴァリー夫人」、社会派作家ゾラの「ナナ」、絵画ではクールベの「画家のアトリエ」、マネの「草上の昼食」などは、当時のアカデミックな権威からかなり厳しい批判を受けていたようです。そして、ビゼーの『カルメン』も1875年にパリのオペラ・コミック座で初演された時には、中産階級の良識ある観客が集っていたコミック座(良家の子女のお見合いによく使われたそうです)に刃傷沙汰を持ち込むなんて!とかなりの批評にさらされました。

傑作、と言われる芸術作品は様々な解釈が可能なものです。『カルメン』の中には、誰が聴いても魅力的で興奮させられるポピュラーな音楽(カルメン、エスカミーリョに関係する部分に多く使われている)、芸術性の高い叙情的なアリアなどの歌唱(ドン・ホセやミカエラの部分)、そしてフランス・オペラらしい色彩豊かな管弦楽と合唱があります。それに加えて、オッフェンバックにオペレッタの台本を提供していたメイヤック&アレヴィのコンビが作り出したドラマも素晴らしいのです。このような数多くの美点のおかげで『カルメン』は、観る人によって様々な楽しみ方が可能な作品になっているのだと思います。

 

さて、今回の勉強会にもゲストが二人ご参加くださいました!

 

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左から安藤敬さん、私、谷めぐみさん

 

一人目は指揮者の安藤敬さん。Le Vociというオペラ団体を持って精力的に活動を続けてらっしゃるマエストロです。音楽が好きでたまらない、という感じの安藤さんの指揮は私も大好きで、良く公演を聴きに行きます。今回ご来場頂いた安藤さんに突然お願いし、指揮者からみた『カルメン』ということで、ビゼーの管弦楽書法の魅力などをご説明いただきました(フルート、クラリネット、そして金管楽器の様々な使い方についてなど)。安藤さん、どうもありがとうございます!

 

もう一人は何とスペイン歌曲のエキスパート、谷めぐみさんです。谷さんはご自身のブログにもこの勉強会の事を書いて下さいました。スペイン音楽の専門家の立場から、ビゼー『カルメン』の中に表現されているスペインについて(ビゼーがどのようにスペイン音楽を使用しているかなど。スペイン音楽の特徴には「メリスマ」という旋律装飾法、「ミの旋法」、「スペイン風リズム」などがあるのですが、谷さんはキーボードを使用して具体的に例を示して教えて下さり、とても解りやすかったです!)、そしてもう一つ、カルメンが登場した時に歌う「ハバネラ」についてのエピソードをご紹介くださいました。

『カルメン』が初演された時にタイトルロールを歌ったセレスティーヌ・ガリ=マリエが、ビゼーがもともと作曲していた「ハバネラ」を気に入らず、何度も書き直しを要求した結果、ビゼーは現在歌われている「ハバネラ」を書いたのですが、実はこの旋律には本歌があったのです。それはスペインの作曲家セバスチャン・イラディエールが作曲した「エル・アレグリート」。ビゼーがこの曲を使用したいきさつについて、その歌の内容についてなど、大変興味深いお話を頂きました。谷さんのブログにはその関係の記事も載っています。おかげでスペイン音楽にとても興味が湧いてきました。谷さんは来年2017年11月19日(日)に白寿ホールでリサイタルを開かれるそうで、珠玉のスペイン歌曲の数々を聴く事が出来そうです。ぜひ行きたいです… (なお、この「ハバネラ」の経緯を含むビゼーの『カルメン』作曲にまつわる話は、春秋社から出版されている岸純信氏の著書「オペラは手ごわい」にも詳しく書かれています。)

 

 

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安藤マエストロ率いるLe Vociの次なる公演もここでご紹介しますね。規模は小さくても質の高い公演を続けている団体です。

プッチーニ『蝶々夫人』全二幕 字幕付き原語上演

2017年2月22日(水)・23日(木) 18:00 開場 18:30開演

渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール 全席自由 4,500円

お問い合わせ tel:080-3021-6152

東京文化会館チケットサーヴィス tel:03-5685-0650

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そして、そして。次回の「みんなでオペラ」第五回もなぜか『蝶々夫人』です。Le Voci公演の予習にぜひどうぞ〜(笑)!

「みんなでオペラ」第五回『蝶々夫人』

2017年1月16日(月)19時〜

ところ:学び舎 遊人(東京都千代田区西神田 2-4-1 東方学会新館2F)

新国立劇場の2016/17年オペラ・シーズンにあわせて、上演作品を一回一演目ずつ勉強する会です。オペラを観る前に「これだけは知っておきたい!」というポイントが分かります。

*実際に劇場でオペラを観る方も、観ない方も一緒にオペラを楽しむための講座です。

参加料:2,500円

各回20名限定。

主催:ユージンプランニング

予約とお問合せ:
ユージンプランニング(平日10時から17時)
TEL 03-3239-1906
FAX 03-3239-1907

 

(勉強会の後は、希望者で居酒屋さん行きま〜〜す。)