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みんなでオペラ 第四回『カルメン』(またまた素晴らしいゲストが登場!)

 

12月12日(月)に西神田の学び舎遊人さんで「みんなでオペラ」第四回『カルメン』を開きました。ご来場の皆さま、どうもありがとうございます!

 

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一応まじめにやっております…

19世紀のパリはヨーロッパ文化の中心地。文学、絵画、音楽と様々な分野で新しい才能が花開きました。その中には今日高い評価を得ている作品でも、発表当時には風当たりが強かったものがたくさんあります。小説ではフローベールの「ボヴァリー夫人」、社会派作家ゾラの「ナナ」、絵画ではクールベの「画家のアトリエ」、マネの「草上の昼食」などは、当時のアカデミックな権威からかなり厳しい批判を受けていたようです。そして、ビゼーの『カルメン』も1875年にパリのオペラ・コミック座で初演された時には、中産階級の良識ある観客が集っていたコミック座(良家の子女のお見合いによく使われたそうです)に刃傷沙汰を持ち込むなんて!とかなりの批評にさらされました。

傑作、と言われる芸術作品は様々な解釈が可能なものです。『カルメン』の中には、誰が聴いても魅力的で興奮させられるポピュラーな音楽(カルメン、エスカミーリョに関係する部分に多く使われている)、芸術性の高い叙情的なアリアなどの歌唱(ドン・ホセやミカエラの部分)、そしてフランス・オペラらしい色彩豊かな管弦楽と合唱があります。それに加えて、オッフェンバックにオペレッタの台本を提供していたメイヤック&アレヴィのコンビが作り出したドラマも素晴らしいのです。このような数多くの美点のおかげで『カルメン』は、観る人によって様々な楽しみ方が可能な作品になっているのだと思います。

 

さて、今回の勉強会にもゲストが二人ご参加くださいました!

 

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左から安藤敬さん、私、谷めぐみさん

 

一人目は指揮者の安藤敬さん。Le Vociというオペラ団体を持って精力的に活動を続けてらっしゃるマエストロです。音楽が好きでたまらない、という感じの安藤さんの指揮は私も大好きで、良く公演を聴きに行きます。今回ご来場頂いた安藤さんに突然お願いし、指揮者からみた『カルメン』ということで、ビゼーの管弦楽書法の魅力などをご説明いただきました(フルート、クラリネット、そして金管楽器の様々な使い方についてなど)。安藤さん、どうもありがとうございます!

 

もう一人は何とスペイン歌曲のエキスパート、谷めぐみさんです。谷さんはご自身のブログにもこの勉強会の事を書いて下さいました。スペイン音楽の専門家の立場から、ビゼー『カルメン』の中に表現されているスペインについて(ビゼーがどのようにスペイン音楽を使用しているかなど。スペイン音楽の特徴には「メリスマ」という旋律装飾法、「ミの旋法」、「スペイン風リズム」などがあるのですが、谷さんはキーボードを使用して具体的に例を示して教えて下さり、とても解りやすかったです!)、そしてもう一つ、カルメンが登場した時に歌う「ハバネラ」についてのエピソードをご紹介くださいました。

『カルメン』が初演された時にタイトルロールを歌ったセレスティーヌ・ガリ=マリエが、ビゼーがもともと作曲していた「ハバネラ」を気に入らず、何度も書き直しを要求した結果、ビゼーは現在歌われている「ハバネラ」を書いたのですが、実はこの旋律には本歌があったのです。それはスペインの作曲家セバスチャン・イラディエールが作曲した「エル・アレグリート」。ビゼーがこの曲を使用したいきさつについて、その歌の内容についてなど、大変興味深いお話を頂きました。谷さんのブログにはその関係の記事も載っています。おかげでスペイン音楽にとても興味が湧いてきました。谷さんは来年2017年11月19日(日)に白寿ホールでリサイタルを開かれるそうで、珠玉のスペイン歌曲の数々を聴く事が出来そうです。ぜひ行きたいです… (なお、この「ハバネラ」の経緯を含むビゼーの『カルメン』作曲にまつわる話は、春秋社から出版されている岸純信氏の著書「オペラは手ごわい」にも詳しく書かれています。)

 

 

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安藤マエストロ率いるLe Vociの次なる公演もここでご紹介しますね。規模は小さくても質の高い公演を続けている団体です。

プッチーニ『蝶々夫人』全二幕 字幕付き原語上演

2017年2月22日(水)・23日(木) 18:00 開場 18:30開演

渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール 全席自由 4,500円

お問い合わせ tel:080-3021-6152

東京文化会館チケットサーヴィス tel:03-5685-0650

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そして、そして。次回の「みんなでオペラ」第五回もなぜか『蝶々夫人』です。Le Voci公演の予習にぜひどうぞ〜(笑)!

「みんなでオペラ」第五回『蝶々夫人』

2017年1月16日(月)19時〜

ところ:学び舎 遊人(東京都千代田区西神田 2-4-1 東方学会新館2F)

新国立劇場の2016/17年オペラ・シーズンにあわせて、上演作品を一回一演目ずつ勉強する会です。オペラを観る前に「これだけは知っておきたい!」というポイントが分かります。

*実際に劇場でオペラを観る方も、観ない方も一緒にオペラを楽しむための講座です。

参加料:2,500円

各回20名限定。

主催:ユージンプランニング

予約とお問合せ:
ユージンプランニング(平日10時から17時)
TEL 03-3239-1906
FAX 03-3239-1907

 

(勉強会の後は、希望者で居酒屋さん行きま〜〜す。)