ドミニック・フェルナンデス「木、その根まで」

「イドメネオ」といえば、少し聴いてみたマッケラス盤の、イアン・ボストリッジのタイトルロールが面白かったです。性格俳優チックというか、ほんの少しサディスティックな人格表現というか、ボストリッジの言葉は常に陰影に富んでいるのですね。

大昔、大学の修士論文を「イドメネオ」で書いた私。その頃にとても面白く読んだのがドミニック・フェルナンデスの「木、その根までー精神分析と創造」という本です。岩崎力訳、朝日出版社刊。その後フェルナンデスは「ポルポリーノ」等も翻訳されています。知識人で独自の視点を持つ、というか、この人のオペラとの個人的な付き合い方が好きだなぁ、と思った本でした。