藤沢市民オペラ『セミラーミデ』に行ってきました!

先週末、10月30日に藤沢市民オペラで、ロッシーニのオペラ・セリアの最高傑作と言われる『セミラーミデ』の演奏会形式の公演を聴いてきました。素晴らしい公演でした!ブッファからセリアまでロッシーニの音楽は楽想が豊かで活気があって、本当に聴きごたえがあります。

 

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会場はペーザロで良く会うロッシーニ・マニアの皆様から、私のオペラ勉強会に来て下さる方々、そしてOTTAVAのリスナーさんにもお会い出来て楽しかったです

 

 

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この写真は藤沢市民会館のロビーです。天井が高くて素敵な雰囲気でした。

 

感想はInstagramに書きましたので、それをそのまま以下に貼り付けます。怠け者ですみません…汗。

 

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藤沢市民オペラの《セミラーミデ》行ってきました。ロッシーニのオペラ・セリアの大傑作。その真価を示すとても良い公演でした!!!

 

演奏会形式であることは、音楽に集中できて良かったです。

今回、素晴らしかったのが日本で望みうる最高級のキャストです。タイトルロールのセミラーミデを歌った安藤赴美子は、輝かしい声にアジリタもしっかりと音楽的に完成度が高く、しかもあの美貌。プリマドンナの貫禄たっぷりでした。

アッスールの妻屋秀和は日本オペラ界のトップ歌手ですが、豊かなバスの美声が広い音域でムラなく、圧倒的な歌を聴かせました。この二人のスターの起用によって今日の演奏は輝かしいものになりました。

そして、他の主役を歌ったロッシーニ歌手達の名唱は、このオペラにふさわしい格調高さと美意識で、《セミラーミデ》演奏の理想的な姿をはっきりと示してくれました。

中でも素晴らしかったのがメゾソプラノ歌手の中島郁子です。セミラーミデと同じ比重を持つ主役であるアルサーチェを、凛々しく深い感情表現を持って歌いました。彼女のアジリタを聴いていると、装飾歌唱の多彩な表現力に感嘆します。いつまでも聴いていたい最高の歌でした。(装飾のヴァリエーションも実にカッコ良かったです。)

イドレーノは物語の筋から言うとそれほど重要ではありませんが、音楽的には技巧を凝らしたテノールの難役です。山本康寛は柔らかい美声がこの役にぴったりでした。一つ目のアリアは3点ニ(D)が楽譜に書かれているそうで、この高音も楽々と響かせ素晴らしかったです。

祭司長のオーロエは登場人物達を導く役で歌う場面が多く、また合唱との絡みも多いので重要です。深みのあるバスの伊藤貴之は歌に品格と迫力があり、このオペラの要として活躍しました。

アゼーマの伊藤晴は可憐ながら歌は意志の強さを感じさせ秀逸。ミトラーネの岡坂弘毅は明るい響きの声で演技も良かったです。ニーノ王の亡霊を歌ったデニス・ビシュニャは登場は短いですが声量たっぷりで印象的でした。

藤沢市民会館は天井が高く雰囲気が良かったです。写真は吹き抜けになっている正面ロビーです。

藤沢市民オペラは、市民オペラの草分けですが、私は初めて聴きました。合唱は地元の合唱団がいくつも集まって参加しているようです。音楽性も表現力もあり素晴らしかったです。合唱指揮は浅野深雪。

そして、藤沢市民交響楽団はロッシーニのオペラの中でも凝ったスタイルを持つこの曲を躍動感ある演奏で聴かせてくれました。

これら全ての要素をまとめ上げ、《セミラーミデ》というオペラの魅力を最大限、味あわせてくれたのは指揮者、そして芸術監督を務める園田隆一郎の功績だと思います。お客さんの入りも良く、観客の反応もとても良かったです。

今回の上演は、演奏会形式での日本初演だそうです。第一幕のアルサーチェとアッスールの二重唱がカットされ、レチタティーヴォなどもカットがあったようですがそれ以外は全曲の上演でした。ナビゲーターの朝岡聡は、物語の説明に加え、このオペラをどう聴くかのヒントをたくさん教えてくれる優れた導き役でした。

藤沢市民オペラの快挙を喜び、今後の活動にも大いなるエールを送りたいと思います。