昨日、オペラと本を愛する人のためのイベント、Opera Book Café が無事開催されました。ご参加くださった皆さん、どうもありがとうございました!
軽食をはさみ4時間超という、ワーグナーのオペラか!?という長時間イベントとなりましたが、多くの方がお好きな本をご紹介くださり、また、他の方は良い聴き手となってくださったおかげで盛り上がりました!
そして、Facebookで告知していたスペシャル・ゲストですが、ご自分の講演会の後で駆けつけて下さったのはなんと、オペラに関する素晴らしい本をたくさん出していらっしゃる加藤浩子さんです。加藤先生、どうもありがとうございました❤❤❤。ちなみに今度の水曜日、7月19日(水)のmusic book caféのゲストは加藤さんです。詳しくはこちら。た・の・し・み・で・す。
以下、本を紹介した順番に掲載します。各写真へのコメントは私の感想です。本筋に関係ない内容もありますがお許しください。
どさくさにまぎれてトップ・バッターをゲットした私(笑)のご紹介本は、フランス人のイタリア文学者でエッセイスト、小説家でもあるドミニック・フェルナンデスの「木、その根まで」(朝日出版社)と、同じ著者の「ポルポリーノ」(早川書房)でした。精神分析的アプローチでモーツァルト「イドメネーオ」について書いた研究が含まれる「木、その根まで」、そして「ポルポリーノ」は18世紀後半のナポリを舞台にしたカストラート歌手が主人公の小説です。好き嫌いがかなりあるジャンルだと思いますが、私自身が大学時代に読み、オペラと関わるきっかけともなったフェルナンデスの本との出会いをふりかえってお話しさせて頂きました。
出ました!我らがマエストロ、バッティストーニが書いた「マエストロ・バッティストーニの ぼくたちのクラシック音楽」(音楽之友社)。私も大好きな本です。バッティストーニは、自分自身とのクラシック音楽、オペラとの向き合い方を彼らしい切り口で書いていて、それが私達の音楽との出会いにヒントを与えてくれるのが素晴らしいと思います。
そしてもうお一人からも同じバッティストーニの本についてお話し頂きました。バッティストーニのおかげで友人(遊人?)の輪も広がっています。ありがたいことです。
お次は名著「小澤征爾さんと、音楽について話をする」村上春樹著(新潮文庫)。村上春樹はジャズ、クラシック音楽に造詣が深い事で知られていますが、この本からは彼の凄さが本当に良く分かります。そして、オペラ原作本もご紹介くださいました。プーシキン著の「オネーギン」(岩波文庫)と「エヴゲーニン・オネーギン」(講談社文芸文庫)。原作を読むとオペラの世界はぐっと広がりますね。韻文で訳された講談社の方、私もぜひ読まねば。
オペラが大流行した18世紀のヴェネツィア。その時代を鏡のように映した面白い本が、作曲家のベネデット・マルチェッロが書いた「当世流行劇場」(未来社)です。オペラに詳しい方ならではの選択。
オペラの魅力はオペラ歌手やオーケストラの魅力だけではありません。演出を支える舞台美術の美しさ、そして衣裳の美しさも大きな要素です。ご紹介頂いた「音楽の匠シリーズ ステージを支える匠たち」野口卓著(YMM)は衣裳、照明、大道具、小道具などの分野に光をあてた本だそうです。中でも、著名な衣裳デザイナーの緒方規矩子さんについて詳しくお話し頂きました。
昨年末のオペラ勉強会『カルメン』の回にゲストでご参加くださり、ビゼーの「ハバネラ」の元になったスペインの歌曲のお話がとても興味深かったスペイン歌曲のエキスパート、谷めぐみさん。14世紀のカタルーニャ地方を舞台にした歴史小説「海のカテドラル」(イルデフォンソ・ファルコネス著(RHブック・プラス出版)をご紹介くださいました。この本を読む方は、面白くて止まらなくなりそうなので読み始めるタイミングにぜひ気をつけて下さい(笑)。詳しくはこちら、谷さんのブログ記事をどうぞ。
追記:谷さんが今回のイベントについてもブログに書いて下さいました。こちらです❤。
次は忙しいお仕事の傍ら、オペラ公演をたくさんご覧になっているこの方です。カウンターテナー歌手、演出、または文筆業でも活躍している弥勒忠史さんの最新刊「歌うギリシャ神話 オペラ・歌曲がもっと楽しくなる教養講座」(アルテスパブリシング)をご紹介くださいました。オペラに出て来るギリシャ神話をとっても分かりやすく、そして面白く解説している本だそうです。私もまだ読んでいませんが、ぜひ読みたいと思っている一冊です。
オペラ・プログラムの編集やオペラ講演会企画のお仕事を長年手がけている新井巌さん。私が関わるオペラのサイト、オペラ・エクスプレスにも連載を書いて下さっていました。その新井さんが紹介して下さったのは、今日はオペラの歴史上では何が起こった日かな?ということを知るのに最高なご著書「日めくり『オペラ』 366日事典」新井巌著(言視舎)です。表紙は、新井さんが友の会代表をなさっているヴェネツィア・フェニーチェ劇場の客席の写真です。ちなみに私の誕生日を調べた所、バイロン卿の生まれた日でした。そんなスゴい人と同じお誕生日だったとは(笑)!
有名なヴァイオリニスト葉加瀬太郎さんの「葉加瀬太郎の 情熱クラシック講座」(サンクチュアリ出版)のご紹介です。インターネットラジオ OTTAVA他で有名な林田直樹さんと、新井鷗子さんが監修しています。葉加瀬さんはオペラはあまり好きではなくワーグナーは特に苦手なんだそうで、一方、大好きなブラームスについては本全体の10%を超えるページを割いて熱弁をふるっているそうです。自分の好きな音楽を情熱的に語っている、ということで今日の会にぴったり合った本のご紹介でした!
そして、ご自分の講演会を終えてオペラ・ブック・カフェに立ち寄って下さったのがオペラに関するご著書が数多くある加藤浩子さんです(加藤さんのHPはこちら)。加藤さんが書かれた「オペラでわかるヨーロッパ史」と、最新刊「音楽で楽しむ名画」(どちらも平凡社新書)をお持ちくださいました。読んだ後ではオペラの観方も変わる名著です。そしてオペラの原作本の面白さについても、メリメ著「カルメン」G・ヴェルガ著「カヴァレリーア・ルスティカーナ」(ともに岩波文庫)を例に熱く語ってくださいました。加藤先生、どうもありがとうございました!!!
というわけで、オペラ・ブック・カフェ大盛況のうちに終了しました。皆さんのオペラや本との関係を知ることが出来てとても嬉しかったです。オペラはやはり人生の彩りです。そしてオペラがあるからこその様々な出会いにも感謝したいと思います。この場を与えてくれたユージンプランニングの坂元勇仁君、そして会場でご協力くださった井上勢津さん(ノルウェー音楽の専門家で、「わたしだって、できるもん!」リンダ・リッレヴィーク著、シェル・オーヴェ・ストールヴィーク写真(新評論)という、ダウン症少女の成長を追いかけたノルウェーの素晴らしい写真絵本の訳者でもあります)、どうもありがとうございました。
集合写真です❤。