映画「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」

長年オペラのコーディネートや通訳の仕事でお世話になっている東急文化村のHさんから、「そういえば井内さん、いい映画が上演される予定があるんですよ!」と教えてもらったのは秋も深まった頃でした。そう、その映画とは『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』です!

 

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12月23日(金・祝)より、Bunkamuraル・シネマ他 全国ロードショー!

 

 

Hさんのおかげで配給会社さんにご紹介頂き、この映画の試写を拝見し、そしてパンフレットにも文章を書かせていただきました。なにせオペラが大好きすぎてスカラ座があるミラノに20年以上住んでしまった私のこと。スカラ座への愛情を吐露する場所を与えていただき嬉しかったです。映画をご覧になる方でご興味がある方は、ぜひパンフレットもお手に取って頂ければ幸いです。

映画はスカラ座の魅力を多面的に描いたものです。毎年12月7日のスカラ座シーズン開幕公演は、ロングドレスとブラックタイのVIP達が集う華やかさで有名ですが、ダニエル・バレンボイム指揮《フィデリオ》で開幕した2014年の、初日へ向けての緊張感漂う準備の様子を一つの軸に、スカラ座元総裁リスナー、現総裁ペレイラ、元音楽監督クラウディオ・アッバード、リッカルド・ムーティ、バレンボイム、そして現シェフのリッカルド・シャイーなどのインタビュ―、貴重なリハーサル映像、公演風景、スカラ座元エトワールのカルラ・フラッチ、アレッサンドラ・フェッリ、現エトワールのロベルト・ボッレ、そしてオペラ歌手では、レオ・ヌッチやプラシド・ドミンゴ、その他多くのアーティストの貴重な映像を観る事が出来ます。

もう一つ面白いのがスカラ座の歴史を語るために再現ヴィデオを使用している事です。ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニ等に傑作を書かせた天才興行主バルバイア、ヴェルディに《ナブッコ》を作曲させた辣腕興行主メレッリ、果ては音楽出版社リコルディの創業者ジョヴァンニ・リコルディの妻(!)、マリア・カラスを伝説のディーヴァに仕立て上げたデザイナーのビキなどに扮した俳優達が登場。彼らの演技は当時のスカラ座の雰囲気を活き活きと伝えています。

そして、私にとって嬉しかったのは、スカラ座の観客についてもきっちり取材されていた事でした。有名な「スカラ座天井桟敷の会」など、スカラ座に棲んでいるオペラ・ファンたちのオペラにかける情熱。それこそがスカラ座を世界一の歌劇場にした秘密である事を、映画はちゃんと語っています。

 

公式サイトはこちらです。
(サイトが開くとプロモーション映像が始まり音が出ます)