前回の記事もミラノ・スカラ座のことでしたが、明日のオペラ勉強会で《蝶々夫人》を取りあげるのでふたたび… 昨年の12月7日、スカラ座はプッチーニ《蝶々夫人》で開幕しました。あまりにも有名なこのオペラは1904年2月17日にスカラ座で初演されましたが、大失敗で終わった事はよく知られています。
そしてプッチーニは一晩でこのオペラを取り下げ改作にとりかかります。そして他の劇場で何度かの改作による再演を経て現行版が出来上がり、《蝶々夫人》は現代に至るまで名作として上演され続けています。
今シーズンのスカラ座の《蝶々夫人》はこの大失敗に終わった初演版を採用しての上演でした。この版での上演はスカラ座では1904年以来初めて、つまり112年ぶりとのことです。
今回のスカラ座のプロダクションの初日公演は生中継されました。日本でも1月23日0時(つまり22日の深夜)からBSプレミアムで放映されるそうです。私はイタリア人の友人から見せてもらいました。大変充実した上演で特に音楽は圧倒的な素晴らしさでした(演出も嫌いではなかったです)。
私は1996年に東京で上演されたパウントニー演出のミラノ初演版を観ていますが、その時に受けた印象とはまた違うものがありました。分かるのは、初演版はたしかに現行版と比べて普遍性では劣るけれど、《蝶々夫人》という日本を描いた作品としての個性はより際立っているということです。そして初演が大失敗だったのは決して作品が酷かったせいではない、ということが良く理解できます。
ミラノのデパート、リナシェンテのウィンドウはスカラ座開幕演目に合わせて《蝶々夫人》をテーマに飾られていたそうです。素敵ですね!(これは友人が送ってくれた写真です。)