前夜祭「ジャパン・オルフェオ」 @ イタリア文化会館

今日は九段下のイタリア文化会館で「前夜祭『Japan Orfeo』トーク&ミニコンサート」というイヴェントがあり、通訳として呼んでいただきました。

 

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10月7日(金)8日(土)に鎌倉の鶴岡八幡宮 野外特設舞台で、そして12日(水)13日(木)に東京芸術劇場で上演される『ジャパン・オルフェオ』のプレ・イヴェントです。内容はモンテヴェルディの「オルフェオ」ですが、今回の上演にはいくつかスペシャルな特徴があるというご説明でした。

 

1.  新しく作曲された音楽を使用した〈悲劇版フィナーレ〉での上演

1607年の初演時にアレッサンドロ・ストリッジョが書いた「オルフェオ」台本のフィナーレは、オルフェオ(オルフェウス)がバッカスの巫女達に八つ裂きにされるという結末でした。しかし1609年に出版された「オルフェオ」の楽譜ではこのフィナーレは変更されており、天上界からアポロが降りて来て息子であるオルフェオは天に召されて終わります。変更前のオルフェオが八つ裂きにされる結末の台本にはモンテヴェルディの音楽が残されていません。今回はその悲劇版の台本に、作曲家で指揮者の沼尻竜典が曲を書き(6-7分の曲だそうです)オリジナルの台本の内容が現代に蘇ります。

 

2. オペラ × 能 × 日本舞踊 × 雅楽

この『ジャパン・オルフェオ』公演では真の意味での日伊のコラボレーションが実現するそうです。オペラが誕生したばかりの1607年に初演されたモンテヴェルディの「オルフェオ」を上演するにあたり、日本の伝統芸能である能、日本舞踊、雅楽が加わります。宝生流第20代宗家の宝生和英が伝統芸能演出監修を受け持ち、「オルフェオ」後半の地獄の場面で地獄の王プルトーネと妻プロセルピナを(イタリア人の歌手たちがこれらの役を歌う傍らで)宝生流のシテ方武田孝史と宝生和英が舞います。また、フィナーレでオルフェオを八つ裂きにするバッカスの巫女を宗家藤間流の八世宗家である藤間勘十郎が踊ります。

演奏家としては、この時代のオペラのスタイルを熟知したイタリアと日本の古楽器奏者達が集結しますが、そこに加えて、雅楽、能楽囃子方、そしてイタリアからレーザー・ハープ奏者も来日しての演奏が繰り広げられます。雅楽やお能の音楽を演奏するのではなく、和洋の楽器が一緒になってモンテヴェルディの音楽を奏で、日本側もその音楽で舞いを見せる、という新しい挑戦がある舞台だそうです。

 

3. イタリアの踊りと衣裳の〈美〉も参加

「オルフェオ」の前半(プロローグと第1幕、第2幕)はオルフェオとエウリディーチェの結婚のお祝い、そしてエウリディーチェが毒蛇に噛まれて死んだことをオルフェオが嘆く場面までです。今回はこの現世の部分を地中海的な彩りで表現します。南イタリア、プーリア州のピッツィカとタランタという踊りを踊るダンサー達が来日して結婚式のお祝いの場面などで踊ります。また、イタリアの一流デザイナー、ミッソーニがこの公演のために特別にデザインした衣裳も見所です。

 

今日のトークは昭和音楽大学教授の有田栄先生が司会として質問をなさり、指揮者・音楽監督のアーロン・カルペネ氏と演出家のステファノ・ヴィツィオーリ氏がそれに答えるという内容でした。有田先生の質問が分かりやすく、お二人の答えも興味深い内容でした。カルペネ氏とヴィツィオーリ氏は2013年にブータンで同じように現地の芸術家とイタリアとのコラボレーションでオペラを上演しており、その経験が今回の日本での上演実現に大いに役に立っている、ということでした。またモンテヴェルディのオペラを最大限に尊重しつつ、本当の意味での日伊のコラボレーションを目指している、ということを何度もおっしゃっていました。

一時間程のトークの後には、オルフェオ役を歌うために来日したヴィットーリオ・プラート氏(バリトン)の歌と指揮者のカルペネ氏のピアノで「オルフェオ」からの曲が演奏されました。

「Rosa del ciel 天上の薔薇よ」と「Tu se’ morta 君は死んでしまったのか」の二曲です。

プラート氏の声がとても美しかったです。お天気に恵まれて素晴らしい公演になるといいですね!

この公演の詳細はこちらをご覧ください。

 

 

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左から演出家のステファノ・ヴィツィオーリ、オルフェオ役のヴィットーリオ・プラート、指揮者のアーロン・カルペネの各氏。

 

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司会の有田栄先生も一緒に。